COLUMN医師監修コラム
豊胸手術の失敗例とリスク|後悔しないために知っておくべき全知識
2025.12.30
「自分に自信を持ちたい」「ファッションをもっと楽しみたい」—。豊胸手術は、そんな女性の純粋な願いを叶える、非常に有効な医療技術の一つです。私自身、Webマーケティングの専門家として多くの美容クリニックの症例や情報に触れてきましたが、施術によってコンプレックスが解消され、人生が輝き出す瞬間を何度も目の当たりにしてきました。
しかし、その輝かしい側面の裏には、決して軽視できない「失敗」や「リスク」が存在することも事実です。手軽な「プチ整形」とは異なり、豊胸手術は体内に異物を挿入する、あるいは自身の組織を移植する、高度な外科手術です。「知らなかった」では済まされない後悔をしないため、ここでは、豊胸手術で起こり得る失敗例とリスクの全知識、そしてそれを回避するための具体的な方法について、徹底的に解説します。
目次
1. 豊胸手術で起こりうる失敗とは?
豊胸手術における「失敗」とは、一体何を指すのでしょうか。これは、単に医学的な問題(合併症)が起こることだけではありません。私が考える「失敗」とは、大きく以下の3つに分類されます。
- 医学的な失敗(合併症・副作用)
手術によって引き起こされる、医学的に「問題がある」と診断される状態です。これには「カプセル拘縮」や「感染症」、「しこり」などが含まれます。これらは身体的な苦痛や、再手術の必要性に直結する深刻な問題です。 - 審美的な失敗(デザイン・満足度)
医学的には問題がなくても、患者様が望んだ結果と「違う」状態です。「イメージと違う形になった」「左右差が目立つ」「不自然なバストになった」など、審美的な不満が残るケースです。これは、医師の技術や美的センス、そしてカウンセリングの不足が主な原因です。 - 長期的な失敗(メンテナンス・将来性)
手術直後は良くても、数年後、数十年後に問題が顕在化するケースです。「インプラントの破損」や、加齢による体型の変化で不自然さが際立ってくること、必要なメンテナンス(検診)を怠った結果、異常の発見が遅れることなどがこれにあたります。
後悔しないためには、これらすべてのリスクを事前に理解し、「自分はどこまで許容できるのか」「何を最優先するのか」を明確にした上で、手術に臨む覚悟が不可欠です。
| 失敗の分類 | 具体的な失敗例 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 医学的な失敗 | カプセル拘縮、感染症、血腫、しこり、石灰化、脂肪の壊死 | 体質、手術操作、衛生管理、術後管理 |
| 審美的な失敗 | イメージと違う、不自然な形、左右差、大きすぎる/小さすぎる、谷間が不自然 | 医師の技術不足、デザインのミスマッチ、カウンセリング不足 |
| 長期的な失敗 | インプラントの破損、加齢による変形、検診不足による異常の遅延 | 製品の耐久性、体型変化、メンテナンス不足 |
関連記事:脂肪注入豊胸で叶える自然な美バスト|定着率とメリット・デメリット
2. 【シリコン】カプセル拘縮、破損、左右差
シリコンバッグ豊胸は、一度で確実なサイズアップが可能な、最も一般的な豊胸手術です。しかし、体にとっては「異物」であるインプラントを挿入するため、特有のリスクが伴います。
カプセル拘縮(こうしゅく)
これがシリコンバッグ豊胸における最大の失敗例であり、リスクです。
まず、インプラントを挿入すると、体は必ずその周りに「カプセル」と呼ばれる薄い膜を作ります。これは異物から体を守るための正常な防御反応です。しかし、何らかの原因(感染、出血、体質など)で、このカプセルが異常に分厚く、硬く縮んでしまうことがあります。これが「カプセル拘縮」です。
- 症状:バストが硬くなる、不自然な球形(お椀型)になる、痛みを伴う、インプラントが上にずり上がる。
- 原因:細菌感染(バイオフィルム)、術後の血腫(血の塊)、インプラントの種類(昔のスムースタイプに多かった)、体質。
- 対策:衛生管理の徹底、術後の適切な圧迫固定、出血を最小限にする手術技術。
拘縮の程度は、世界的に「ベーカー分類(Baker Classification)」で分類されます。多くのクリニックが、この分類を用いて状態を診断します。
| グレード | 状態 | 症状 |
|---|---|---|
| Grade I | 正常(拘縮なし) | 柔らかく、自然な見た目。 |
| Grade II | 軽度の拘縮 | 見た目はほぼ正常だが、触ると少し硬い。 |
| Grade III | 中等度の拘縮 | 明らかに硬く、形も不自然(球形など)に見え始める。 |
| Grade IV | 重度の拘縮 | 非常に硬く、変形が著しい。痛みを伴うことが多い。 |
Grade III以上は、多くの場合、カプセル除去とインプラント入れ替えの修正手術が必要となります。
破損(はそん)
インプラントのシェル(外膜)が破れ、中身のシリコンジェルが漏れ出すリスクです。昔のインプラントと比べ、現在の製品(コヒーシブジェル)は耐久性が格段に向上しており、中身もゼリー状で流れ出にくくなっていますが、リスクはゼロではありません。
- 原因:強い衝撃(交通事故など)、経年劣化(10年、20年)、手術器具による損傷。
- 症状:ジェルが漏れ出しても気づかない「サイレント・ラプチャー(Silent Rupture)」がほとんどです。形が崩れる、硬くなる、痛みが出る、といった症状が出て初めて気づくこともあります。
- 対策:定期的な検診(超音波検査やMRI検査)が唯一の発見手段です。インプラントは一生ものではないという認識が重要です。
左右差
元々、人間のバストは完全な左右対称ではありません。しかし、手術によってその差が助長されたり、新たな左右差が生まれたりするのは「失敗」です。
- 原因:元々の左右差(骨格、乳房の大きさ、位置)を考慮せずに同じサイズのインプラントを入れた。インプラントを入れるポケット(空間)の作成が左右非対称だった。術後に片方だけカプセル拘縮が起きた。インプラントがずれた(特にスムースタイプ)。
- 対策:術前のデザインで、医師が元々の左右差を正確に診断し、挿入するインプラントのサイズや形、挿入位置を調整する技術が求められます。

3. 【脂肪注入】しこり、石灰化、脂肪の壊死
脂肪注入豊胸は、自分の太ももやお腹から採取した脂肪をバストに注入する方法です。「異物を使わない」「痩身と豊胸が同時にできる」という点で非常に人気がありますが、シリコンとは全く異なる種類の失敗例とリスクが存在します。
脂肪注入豊胸のリスクは、注入した脂肪が「うまく生着しなかった(生き残れなかった)」時に発生します。
しこり・石灰化(せっかいか)
注入した脂肪細胞は、既存の組織から酸素や栄養をもらって「生着」します。しかし、一度に大量に注入しすぎたり、一箇所に塊で注入したりすると、栄養が行き渡らなかった脂肪細胞が壊死(えし)してしまいます。
- しこり:壊死した脂肪細胞が、線維化して硬くなったもの。または、壊死した脂肪が液状になり、カプセルに包まれた「オイルシスト(嚢胞)」。触るとコロコロとした塊として感じられます。
- 石灰化:壊死した脂肪の周りに、体のアレルギー反応でカルシウムが沈着し、石のように硬くなったもの。
最大の注意点は、これらの石灰化やしこりが、マンモグラフィ検査で「乳がん」の所見と非常に似ており、がん診断の妨げになる可能性があることです。良質なクリニックでは、乳がん検診との区別がつきやすいよう、CTやMRIで術後の状態を記録しておくことを推奨しています。
脂肪の壊死(えし)
前述の通り、しこりや石灰化の根本原因です。脂肪の生着率は100%ではありません。一般的に50%〜70%程度と言われていますが、これは医師の技術(脂肪の採取方法、精製方法、注入方法)に大きく左右されます。不純物の多い脂肪や、ダメージを受けた脂肪を注入すると、壊死する量が増え、しこりのリスクが格段に高まります。
| 項目 | シリコンバッグ豊胸 | 脂肪注入豊胸 |
|---|---|---|
| 最大の医学的リスク | カプセル拘縮(硬くなる) | しこり・石灰化(脂肪の壊死) |
| 長期的な懸念 | インプラントの破損、経年劣化 | 脂肪の吸収(サイズダウン)、乳がん検診への影響 |
| 質感・触感 | 製品によるが、拘縮すると不自然に硬くなる | 生着すれば自然。しこりになると硬い部分ができる |
| 異物反応 | あり(BIA-ALCLのリスクも極めて稀にあり) | なし(自己組織のため) |
4. イメージと違う、不自然な形になる失敗
豊胸手術で最も後悔に繋がりやすいのが、この「審美的な失敗」です。医学的には成功していても、患者様の理想とかけ離れた結果になれば、それは「失敗」です。
- 不自然な「お椀型」:
シリコンバッグのサイズが体格に合っていない(大きすぎる)、挿入する層(大胸筋下など)の選択ミス、あるいはカプセル拘縮の初期症状で、バストの上部が不自然に盛り上がり、いかにも「入れている」と分かるお椀型のバストになるケース。 - 谷間が不自然(広すぎる・狭すぎる):
谷間が不自然に広すぎる(離れ乳)、または逆に狭すぎて胸がくっついて見える(一続き乳)。これは医師のデザインミスや、挿入するポケットの作成ミスが原因です。 - ダブルバブル(二段胸):
インプラントが下がりすぎたり、元々のバストの下のライン(アンダーバストライン)とインプラントのラインがずれたりして、バストが二段に見えてしまう状態。 - リップリング(波打ち):
痩せている人がシリコンバッグを入れた場合、皮膚の上からインプラントの縁(ふち)が浮き出て、シワや波のように見えてしまう現象。特に脇に近い部分で起こりやすいです。 - サイズが希望通りではない:
「もっと大きくしたかった」または「大きすぎて不自然になった」。脂肪注入の場合は、「思ったより吸収されて小さくなった」という不満が非常に多いです。
これらの失敗のほとんどは、医師の技術力と美的センス、そして術前のカウンセリングでの「すり合わせ」不足が原因です。患者様の「なりたいイメージ」と、医師の「できること・似合うデザイン」が、手術前に完璧に共有されていなければ、この種の失敗は必ず起こります。
関連記事はこちら:豊胸手術で名医を見つける方法|後悔しないクリニック選び7つの条件
5. 感染症や血腫などの合併症
豊胸手術は、他の外科手術と同様に、一般的な「合併症」のリスクを伴います。これらは術直後に発生することが多く、迅速な対応が必要です。
- 感染症:
非常に稀ですが、最も恐ろしい合併症の一つです。手術の傷口や、インプラントの周りに細菌が入り込み、感染を起こします。術後に高熱が出る、バストが異常に赤く腫れ上がる、激しい痛みが続く、などの症状が出ます。感染がコントロールできない場合、挿入したインプラントを一時的に、あるいは永久に抜去(取り出す)しなければならない最悪の失敗ケースにつながります。脂肪注入の場合も、注入部が感染し、膿が溜まることがあります。 - 血腫(けっしゅ):
術後、バスト内部で出血が起こり、血の塊が溜まってしまう状態です。バストがパンパンに腫れ上がり、強い痛みを伴います。血腫は、前述のカプセル拘縮の強い誘因になるため、発見次第、再度切開して血腫を取り除く「修正手術」が必要になることがほとんどです。 - 知覚異常:
手術操作によって、乳首やバスト周辺の皮膚の知覚神経が損傷し、感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりすることがあります。多くは時間と共にかいふくしますが、一部が永続的に残るリスクもあります。
| 合併症 | 主な症状 | 対応とリスク |
|---|---|---|
| 感染症 | 高熱、異常な赤み、腫れ、激痛、膿 | 抗生剤治療。重度の場合はインプラント抜去の必要あり。 |
| 血腫 | 急激な腫れ、内出血、強い圧痛 | 緊急のドレナージ(排出)手術が必要。拘縮のリスク増大。 |
| 知覚異常 | 乳首や皮膚の感覚が鈍い、または過敏になる | 多くは時間と共に軽快するが、一部残る可能性もゼロではない。 |

6. 失敗しないための名医・クリニック選びの極意
豊胸手術の失敗とリスクを回避するために、患者側ができる最も重要かつ効果的な行動は、「信頼できる名医・クリニックを選ぶ」ことです。広告や価格の安さだけで選ぶことは、後悔への最短ルートです。
私が考える「名医・クリニック」の条件は以下の通りです。
- 資格と専門性:
最低限、「日本形成外科専門医」や「日本美容外科専門医(JSAPSまたはJSAS)」の資格を持っているか。豊胸手術(特にシリコン)は、乳房再建などにも通じる高度な技術です。基本的な解剖学を熟知した専門医であることが大前提です。 - 症例数と症例写真の「質」:
ただ症例数が多いだけでなく、症例写真のクオリティが高いか。不自然な「お椀型」ばかりではなく、患者の体型に合わせた自然なデザインができているか。あなた自身の体型と似た人の、美しい症例があるか。 - リスク説明の徹底:
カウンセリングで、良いこと(メリット)ばかりでなく、この記事で挙げたようなリスク(拘縮、しこり、破損、失敗例)を、医師自らが、時間をかけて具体的に説明してくれるか。メリットの3倍、リスクについて話す医師こそ信頼できます。 - 安全管理体制:
手術は安全に終わることが大前提です。麻酔科専門医が常駐しているか(執刀医が麻酔を兼任するクリニックはリスクが高い)。緊急時の対応マニュアルや、提携病院は整備されているか。 - アフターフォローの充実:
術後の検診(シリコンなら破損チェック、脂肪注入ならしこりチェック)の体制は整っているか。「インプラントは10年保証」などの製品保証だけでなく、クリニックとしてカプセル拘縮などにどう対応してくれるのか(修正手術の保証など)が明確か。
| チェック項目 | 信頼できる(Green Flag) | 注意が必要(Red Flag) |
|---|---|---|
| カウンセリング | 医師が時間をかけ、リスクやデメリットを詳細に説明する。 | カウンセラーがメインで、医師の診察は一瞬。「簡単」「安全」ばかり強調。 |
| 専門性 | 形成外科や美容外科の専門医資格がある。 | 「〇〇専門医」など、学会認定ではない自称の資格が多い。 |
| 症例写真 | 様々な体型、術式、長期経過の写真が豊富。 | 同じようなアングルの、術直後で腫れている写真ばかり。 |
| 安全管理 | 麻酔科専門医が常駐。緊急時対応が明確。 | 麻酔科医の有無が不明瞭。 |
| 料金体系 | 麻酔代、検診代、保証など全て込みの総額が明確。 | 手術代が安く見え、麻酔代や薬代が別途高額。 |
参考ページ:シリコンバッグ豊胸の全て|種類・サイズ選びから費用・ダウンタイムまで
7. カウンセリングで失敗を回避する質問術
後悔しない豊胸手術のためには、カウンセリングであなたの疑問や不安を100%解消しておく必要があります。医師の「大丈夫です」という言葉を鵜呑みにせず、あなたから主体的に質問することが、失敗を回避する最大の防御策です。
私がクリニックに取材する際に、必ず確認する「魔法の質問」リストを共有します。これらの質問に、誠実に、具体的に答えられない医師は避けるべきです。
- 【リスクについて】
「先生がこれまで経験した中で、最も大変だった合併症や失敗例は何ですか? そして、その時どう対処されましたか?」
→ 失敗を隠さず、その対処法まで具体的に話せる医師は信頼できます。 - 【デザインについて】
「私の体型(骨格、左右差、皮膚の厚さ)を見た上で、どの術式(シリコンor脂肪)が最適だとお考えですか? その理由は何ですか?」
→ あなたの希望(例:脂肪注入)を否定してでも、医学的根拠から最適な術式(例:シリコン)を提案してくる医師は、プロフェッショナルです。 - 【シリコンの場合】
「なぜ、私にはその種類、そのサイズ、その挿入位置(筋膜下、乳腺下など)を勧めるのですか? 他の選択肢と比べたメリット・デメリットを教えてください。」
→ デザインの根拠を、解剖学的に説明できるかを見極めます。 - 【脂肪注入の場合】
「しこりや石灰化のリスクを、具体的に何%くらいと想定していますか? それを防ぐために、どのような技術(採取、精製、注入方法)を使っていますか?」
→ しこりリスクを「ゼロです」と言う医師は信用できません。リスクを最小化する「技術」を具体的に語れるかがポイントです。 - 【アフターフォローについて】
「万が一、カプセル拘縮やしこり、破損が起きた場合、修正手術の費用や保証はどうなっていますか? 具体的な保証書(書面)はいただけますか?」
→ 口約束ではなく、書面で保証範囲を確認することが極めて重要です。
これらの質問をメモし、カウンセリングで全てぶつけてみてください。その反応こそが、あなたが後悔しないための答えです。
参考:豊胸するならシリコンと脂肪注入どっち?効果・費用・リスクを徹底比較
8. 万が一失敗した際の修正手術について
どれだけ慎重に選んでも、リスクをゼロにすることはできず、失敗(カプセル拘縮、しこり、イメージと違うなど)が起こってしまう可能性はあります。その場合、「修正手術」という選択肢があります。
しかし、ここで知っておかなければならないのは、修正手術は、初回の手術よりも遥かに難易度が高く、リスクも費用も高額になるという事実です。
- シリコンの修正:
カプセル拘縮の場合、硬くなったカプセルを全て、あるいは一部切除し、新しいインプラントに入れ替えます。破損の場合も、カプセル内のジェルを洗浄し、入れ替えます。初回手術よりも組織が硬く、癒着しているため、出血量も多くなりがちです。 - 脂肪注入の修正:
しこりや石灰化の修正は、非常に困難を極めます。小さなしこりなら注射(ステロイド)で小さくできることもありますが、大きなものや石灰化は、切開して取り除くか、脂肪吸引用のカニューレで削り取るしかありません。広範囲に散らばっていると、全てを取り除くのは不可能です。 - 審美的な修正:
「イメージと違う」場合、インプラントのサイズアップは比較的容易ですが、サイズダウンは皮膚が余ってしまうため、たるみを取る手術(切開)が同時に必要になることが多いです。
修正手術は、まさに「名医」中の名医でなければ対応できません。初回の手術で失敗しないことが、いかに重要かお分かりいただけるかと思います。

9. 豊胸のリスクを理解し、安全に受けるために
豊胸手術のリスクは、これまで述べてきたものだけではありません。近年、新たに認知されてきた重大なリスクもあります。
BIA-ALCL(ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)
これは、シリコンインプラント(特に表面がザラザラしたテクスチャードタイプ)の周囲に発生する、非常に稀なリンパ腫(血液のがんの一種)です。極めて稀(数万〜数十万人に1人)ですが、リスクとして存在することを厚生労働省も注意喚起しています。術後数年経ってから、急にバストが腫れたり、しこりができたりすることで発見されます。早期発見・早期治療(インプラントとカプセルの完全摘出)で予後は良好とされていますが、豊胸手術を受ける全ての人が知っておくべきリスクです。
BII(乳房インプラント関連疾患)
原因不明の疲労感、関節痛、記憶障害、頭痛など、全身性の自己免疫疾患のような症状が、インプラント挿入後に現れるとされる、まだ研究途上の概念です。インプラントを抜去することで症状が改善するケースが報告されています。
安全に受けるためには、これらの最新のリスク情報も含め、全てを理解し、インフォームド・コンセント(説明と同意)が完全になされることが大前提です。インプラントは「一生もの」ではなく、「定期的な検診が必要な医療機器」であると認識してください。
| リスク/認識 | 内容 | 患者が取るべき行動 |
|---|---|---|
| BIA-ALCL | ごく稀なインプラント関連のリンパ腫。 | リスクを認識し、急な腫れなどがあれば即受診。 |
| BII(乳房インプラント関連疾患) | 原因不明の全身症状。まだ研究途上。 | 体調不良が続く場合は医師に相談する。 |
| インプラントの耐久性 | 一生ものではない。10〜20年での破損や入れ替えの可能性。 | 最低でも1〜2年に1回の定期検診(超音波、MRI)。 |
| 乳がん検診 | 脂肪注入は石灰化、シリコンはマンモグラフィの圧迫で破損のリスク。 | 検診時に必ず豊胸手術の既往を申告。超音波やMRIでの検診を推奨。 |
10. 美しいバストを長く保つための注意点
豊胸手術の失敗を避け、後悔せず、手に入れた美しいバストを長く保つためには、「術後」の生活が非常に重要です。手術は「ゴール」ではなく「スタート」です。
- 定期検診を絶対に欠かさないこと(最重要)
これが最大の注意点です。シリコンの破損(サイレント・ラプチャー)やカプセル拘縮の兆候、脂肪注入のしこりや石灰化は、自覚症状がないまま進行します。クリニックが推奨する最低でも年1回(理想は半年ごと)の超音波検査や、数年に一度のMRI検査を、絶対に欠かさないでください。これが、失敗を最小限に食い止める唯一の方法です。 - 乳がん検診を正しく受けること
豊胸手術を受けていても、乳がん検診は必須です。ただし、検診を受ける際は、必ず「豊胸手術(シリコンor脂肪)を受けています」と申告してください。マンモグラフィでの圧迫による破損リスクを避けるため、インプラントに配慮した撮影(Eklund法)をしてくれる施設や、超音波検査、MRI乳がん検診を選ぶのが賢明です。 - 急激な体重変動を避けること
特に脂肪注入の場合、注入した脂肪は、あなたの体の一部です。あなたが急激に痩せれば、バストの脂肪も痩せて小さくなります。逆に太れば大きくなりますが、しこりのリスクも高まります。安定した体重を維持することが、形を保つ秘訣です。 - 適切な下着(ブラジャー)を選ぶこと
シリコンの場合、インプラントの重さを支えるために、ワイヤー入りやホールド力の高いブラジャーが推奨されることが多いです。術後、いつからどのような下着をつけるべきか、医師の指示に必ず従ってください。
豊胸手術は、あなたの人生を豊かにする可能性を秘めた素晴らしい医療です。しかし、それには相応のリスクが伴います。失敗や後悔を避けるために、この記事で得た知識を武器に、誰よりも賢い患者になってください。
あなたの体を守る「全知識」を武器に
ここまで、豊胸手術の失敗例とリスクについて、シリコンのカプセル拘縮や破損、脂肪注入のしこりや石灰化、そして「イメージと違う」といった審美的な失敗まで、詳しく解説してきました。
重要なのは、リスクを理解した上で、それを最小限に抑える努力をしている「名医」を見抜き、あなた自身も「安全」を最優先に行動することです。後悔しないためには、手術がもたらす輝かしい未来だけでなく、その裏にある現実的なリスクからも目をそらさない勇気が必要です。
あなたがまず取るべき具体的なアクションは、以下の2つです。
- この記事で挙げた「カウンセリングでの質問術」をメモし、最低3つのクリニックを比較検討すること。
- 「インプラントは一生ものではなく、定期検診が必須の医療機器である」と認識を改め、長期的な視点でクリニックを選ぶこと。
価格や手軽さではなく、「安全性」と「医師の誠実さ」を基準に選ぶこと。それこそが、あなたの理想のバストと、後悔のない未来を手に入れるための、唯一の正しい道筋です。
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