COLUMN医師監修コラム
ボディコントアリングのダウンタイムを乗り切る!回復までの完全ガイド
2025.12.06

理想のボディラインを手に入れるための「ボディコントアリング」。しかし、その施術に踏み切る際、多くの方の前に立ちはだかるのが「ダウンタイム」という壁ではないでしょうか。施術後の痛みや腫れ、内出血はどの程度なのか、いつから普段の生活に戻れるのか。特に、脂肪吸引やたるみ取りなど複数の施術を組み合わせた場合、その不安は一層大きくなるものです。私自身も、多くの方から「ダウンタイムが怖くて一歩が踏み出せない」というご相談を受けてきました。でも、安心してください。ダウンタイムは、正しい知識と適切なケアさえあれば、必ず乗り越えられます。ここでは、ボディコントアリングのダウンタイム期間中に起こる様々な症状の経過から、回復を早めるための具体的なセルフケア、仕事復帰の目安、精神的なケアの方法まで、あなたが抱える不安を解消するための情報を網羅的に解説していきます。
目次
1. 複数の施術を組み合わせた場合のダウンタイム
ボディコントアリングでは、より理想的な結果を追求するため、複数の施術を同時に行うケースが少なくありません。例えば、「脂肪吸引」で余分な脂肪を取り除き、同時に「たるみ取り(リフトアップ手術)」で皮膚を引き締める、といった具合です。
こうした組み合わせ施術は、一度の手術で広範囲の悩みを解決できる大きなメリットがあります。しかし、ダウンタイムの観点からは、いくつかの点を理解しておく必要があります。
まず、複数の施術を組み合わせると、ダウンタイムは単独の施術よりも長くなる傾向があります。これは、体が同時に複数の箇所の修復作業を行わなければならず、それだけ負担が大きくなるためです。痛みや腫れ、内出血がより広範囲に出る可能性も高まります。
例えば、腹部の脂肪吸引だけなら1〜2週間で大きな腫れが引くところ、同時に太ももの脂肪吸引も行えば、体への負担は単純に2倍以上となり、回復にも相応の時間がかかります。私が見てきた経験上、施術範囲が広ければ広いほど、体は正直に反応します。
ここで、一般的な施術の組み合わせとダウンタイムの傾向を整理してみましょう。
| 施術の組み合わせ例 | ダウンタイムの主な特徴 | 特に注意すべき点 |
|---|---|---|
| 脂肪吸引(腹部)+ 脂肪吸引(太もも) | 広範囲の内出血と腫れ。全身倦怠感が強く出やすい。 | 圧迫着の管理が複雑になる。一人で着替えるのが困難な場合がある。 |
| 脂肪吸引 + たるみ取り(皮膚切除) | 脂肪吸引による内出血に加え、切開部の傷跡ケアが必要。 | 傷口への負担を避けるため、動作制限が長引く可能性がある。 |
| 脂肪吸引 + 脂肪注入(豊胸・豊尻) | 吸引部位と注入部位、両方のケアが必要。 | 注入した脂肪の定着を妨げないよう、注入部位への圧迫や刺激を避ける必要がある。 |
このように、組み合わせる内容によって注意点が異なります。重要なのは、「自分は広範囲の手術を受けたのだ」と自覚し、決して無理をしないことです。医師の指示する安静期間や圧迫期間を通常よりも長く見積もり、万全の体制で回復に臨む必要があります。
※関連記事:理想の身体をデザインする「ボディコントアリング」とは?脂肪吸引との違いを解説
2. 痛み、腫れ、内出血のピークと経過
ダウンタイムと聞いて、誰もが真っ先に想像するのが「痛み」「腫れ」「内出血」でしょう。これらの症状がいつピークを迎え、どのように引いていくのかを知っておくだけで、精神的な負担は大きく変わります。
ボディコントアリング後の症状の経過は、施術部位や範囲によって個人差がありますが、一般的な流れを理解しておきましょう。
痛みについて
痛みは、術後24時間~72時間(1~3日)がピークとなることがほとんどです。これは麻酔が完全に切れるタイミングと、体の炎症反応が最も強く出る時期が重なるためです。
- 痛みの質: 多くの経験者が「ひどい筋肉痛のような痛み」と表現します。特に、体を動かした時や、寝返りを打つ時、圧迫着を着脱する際に強く感じることがあります。
- 経過: ピークを過ぎると、痛みは急速に和らいでいきます。1週間もすれば、日常生活の動作で「痛い」と感じる場面は減り、「違和感」や「つっぱり感」に変わっていくのが一般的です。クリニックから処方される鎮痛剤で十分にコントロールできる範囲のことがほとんどです。
腫れとむくみ
腫れ(はれ)のピークは、術後3日~1週間頃にやってきます。手術による直接的なダメージと、体が修復しようとして集まってくる水分(浸出液)が原因です。
- 経過: 術後1週間を過ぎると、大きな腫れは徐々に引いていきます。しかし、その後「むくみ(浮腫)」の時期が続きます。これは重力の影響を受けやすく、特に下半身(太ももやふくらはぎ)の施術では、夕方になると足がパンパンに感じることもあります。
- 最終的な引き締まり: 大きな腫れやむくみが取れ、施術部位がスッキリと引き締まってくるまでには、最低でも3ヶ月~6ヶ月程度はかかると考えておきましょう。
内出血について
内出血(皮下出血)は、術直後から現れ、術後1~2週間が最も目立つ時期です。
- 色の変化: 内出血は、時間経過と共に以下のように色が変化していきます。
1. 赤紫色(術直後~数日): 衝撃を受けた直後のアザの色です。
2. 青紫色~緑色(術後1週間頃): 血液中のヘモグロビンが分解され始めます。
3. 黄色(術後1~2週間): さらに分解が進んだ状態で、この色になれば治りかけのサインです。 - 広がり: 内出血は、重力に従って施術部位よりも下の方へ移動しながら広がっていく特徴があります。例えば、お腹の脂肪吸引をしたのに、太ももの付け根や陰部までアザが下りてくることもありますが、これは自然な経過なので心配いりません。
これらの症状の経過を時系列でまとめた目安が、以下の表です。
| 時期 | 痛み | 腫れ・むくみ | 内出血 |
|---|---|---|---|
| 術後~3日 | ピーク。鎮痛剤でコントロール。 | 徐々に強くなる。 | 赤紫色の濃いアザが出現。 |
| 術後4日~1週間 | 徐々に軽減。動かす時の痛みが残る。 | ピーク。圧迫着が窮屈に感じる。 | 青紫~緑色に変化。広がる。 |
| 術後2週間 | 日常生活の痛みはほぼ消失。 | 大きな腫れは引くが、むくみが残る。 | 黄色く変化し、徐々に薄くなる。 |
| 術後1ヶ月 | ほぼなし。拘縮によるつっぱり感開始。 | むくみやすい状態が続く。 | ほぼ消失。 |
| 術後3ヶ月~ | 拘縮が和らぐ。 | むくみが取れ、引き締まりを実感。 | なし。 |

3. ドレーン(排液管)が必要な場合
ボディコントアリング、特に広範囲の脂肪吸引やたるみ取りの手術を受けた場合、「ドレーン(排液管)」と呼ばれる細い管を体内に留置することがあります。
「体に管を入れる」と聞くと、少し怖く感じるかもしれません。しかし、このドレーンは、ダウンタイムをスムーズに経過させるために非常に重要な役割を果たします。
ドレーンの目的とは?
ドレーンの主な目的は、術後に体内に溜まる血液や浸出液(しんしゅつえき)を体外へ排出することです。
手術を行うと、体は傷ついた組織を修復しようとして、様々な体液を分泌します。これらが体内に溜まりすぎると、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- 強い腫れや痛みの原因になる
- 血腫(けっしゅ:血の塊)を形成する
- 感染のリスクを高める
ドレーンは、これらの余分な体液を術後早期に排出することで、強い腫れや痛みを未然に防ぎ、感染リスクを低減させ、結果としてダウンタイムの短縮につなげるための処置なのです。
ドレーンが必要な施術
ドレーンを留置するかどうかは、医師の方針や施術内容によって異なりますが、一般的に以下のような場合に必要とされることが多いです。
- 広範囲の脂肪吸引(例:腹部全体、太もも全体など)
- たるみ取り(皮膚切除)を伴う手術(例:腹部のたるみ取り、アームリフトなど)
- 特に出血や浸出液が多くなると予想される場合
ドレーンの管理と抜去時期
ドレーンは、通常、手術部位の近くの皮膚から挿入され、体外に出た管の先には「排液バッグ」が接続されます。このバッグに溜まった体液の色や量を医師がチェックし、回復状態を判断します。
- 留置期間: 術後1日~3日程度が一般的です。排液量が一定の基準以下になり、色も薄くなってきたら、医師の判断で抜去(ばっきょ:抜き取ること)されます。
- 管理: 入院中であれば看護師が管理しますが、日帰りや短期入院の場合は、自宅での管理方法(バッグの固定方法や、管が折れ曲がらないようにする注意点など)について指導を受けます。
- 抜去時の痛み: 抜去は外来で数秒~数十秒で終わります。多くの場合、強い痛みはなく、「何かが抜ける感じ」「チクッとする程度」で終わります。
ドレーンが入っている間は、動きが少し制限されますが、これは安全な回復のための「お守り」のようなものだと考えてください。自己判断で管を触ったり、排液を捨てたりせず、必ず医師の指示に従いましょう。
4. 圧迫着の重要性と着用期間
ボディコントアリングのダウンタイムにおいて、最も重要と言っても過言ではないのが「圧迫着(あっぱくぎ)」の着用です。術後の痛みや腫れがある中で、窮屈なガードルやボディースーツを着続けるのは、正直なところ快適ではありません。私自身、これが一番つらかったという患者様の声を何度も聞いてきました。
しかし、なぜそこまでして圧迫が必要なのでしょうか? それには、仕上がりの美しさを左右する、非常に重要な理由があります。
圧迫が必須である3つの理由
- 腫れと内出血の抑制
圧迫着で施術部位を物理的に圧迫することで、内出血が広がるスペースをなくし、腫れの原因となる水分の蓄積を防ぎます。これにより、術後早期の強い腫れや痛みを最小限に抑えることができます。 - 皮膚の定着(引き締め)
特に脂肪吸引の場合、脂肪がなくなった空間と皮膚との間に隙間ができます。この隙間を圧迫着で埋め、皮膚を下の組織にしっかりと「定着」させる必要があります。この工程を怠ると、皮膚がたるんだり、デコボコしたりする原因になります。 - 仕上がりの均一化
適切に圧迫をかけることで、施術部位全体に均一な圧力が加わり、滑らかで美しいボディラインに仕上がりやすくなります。
圧迫の期間と段階
圧迫の期間や方法は、施術部位やクリニックの方針によって異なりますが、一般的には段階的に行われます。自己判断で圧迫をやめたり緩めたりすることは、仕上がりに悪影響を及ぼす可能性があるため、厳禁です。
以下は、圧迫期間の一般的な目安です。
| 時期 | 圧迫の目的 | 着用時間の目安 |
|---|---|---|
| 術直後~1週間 | 止血、腫れ・内出血の強力な抑制。 | 24時間(シャワー時など医師の許可した時間以外は常時) |
| 術後1週間~1ヶ月 | 皮膚の定着、むくみの軽減。 | 12時間~24時間。(日中のみ、または就寝時のみOKなど、指示が緩和され始める) |
| 術後1ヶ月~3ヶ月 | むくみ対策、仕上がりのサポート。 | 日中のみ、またはむくみが気になる時のみなど、徐々に減らしていく。 |
圧迫着着用のコツ(経験談より)
圧迫着の着用は、特に術後1週間が勝負です。この時期は痛みや腫れで着脱が困難なこともあります。
- 着脱時の工夫: 痛みがある時期は、ベッドに横になってから履いたり、家族に手伝ってもらったりすると楽です。焦らずゆっくりと行いましょう。
- かゆみ対策: 圧迫により皮膚が蒸れてかゆみが出ることがあります。その際は、圧迫着と皮膚の間にガーゼや薄手の綿素材のインナーを一枚挟むと、汗を吸ってくれて快適になる場合があります。(必ず医師に相談の上で行ってください)
- サイズ調整: 腫れが引いてくると、圧迫着が緩く感じることがあります。その際は、クリニックでより小さいサイズに交換(または買い替え)が必要か相談しましょう。適切な圧をかけ続けることが大切です。
圧迫着は、ダウンタイム中の「もう一つの皮膚」であり、あなたの努力を最終的な美しい結果に結びつけるためのサポーターです。つらい時期もありますが、医師の指示通りに着用を続けることが、理想のボディラインへの一番の近道です。
※関連記事:ボディコントアリングの全て|施術の種類・効果・ダウンタイムを完全網羅
5. 仕事や日常生活への復帰の目安
ボディコントアリングを検討する上で、ダウンタイム中の症状と同じくらい気になるのが、「いつから仕事に復帰できるのか?」「いつから普通の生活に戻れるのか?」という点でしょう。
この復帰目安は、施術の範囲と仕事(日常生活)の内容によって大きく異なります。例えば、二の腕の脂肪吸引と、腹部・太もも全体の脂肪吸引では、体への負担が全く違います。同様に、在宅でのデスクワークと、立ちっぱなしの接客業や力仕事とでは、復帰に必要な回復レベルが異なります。
ここでは、あくまで一般的な目安として、活動内容別に復帰のタイミングを解説します。
仕事への復帰目安
1. デスクワーク(座り仕事・在宅ワーク)
体への負担が比較的少ないデスクワークの場合、術後3日~1週間程度で復帰される方が多いです。
ただし、座りっぱなしは施術部位(特にお腹や太もも)のむくみを強くする原因になります。可能であれば、1時間に一度は立ち上がって軽く歩いたり、足首を回したりするなどの工夫が必要です。
2. 立ち仕事・接客業(軽い動き)
通勤や、ある程度の時間立ち続ける必要がある仕事の場合、術後1~2週間の休暇を取得することが推奨されます。
術後1週間以内は、痛みや腫れで長時間立っているのがつらいことが多いです。また、内出血がまだ目立つ時期でもあるため、制服などで隠せない場合は考慮が必要です。
3. 力仕事・体を激しく動かす仕事
重いものを持つ、走り回る、高所での作業など、体に負担のかかる仕事の場合は、最低でも術後1ヶ月は様子を見る必要があります。
施術部位に力が入ると、痛みが出たり、傷口(皮膚切開を伴う場合)の治りが遅くなったりするリスクがあります。医師の許可が出るまでは、該当する作業を避けるか、配置転換などを相談する必要があるでしょう。
日常生活への復帰目安
仕事以外の日常生活動作についても、段階的に慣らしていく必要があります。
| 活動内容 | 復帰の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| シャワー | 術後1日~3日(医師の許可後) | 施術部位を濡らして良いか確認が必要。長湯は避ける。 |
| 湯船(入浴) | 術後1週間~2週間(抜糸後など) | 血行が良くなると腫れがぶり返すため、最初はぬるめ・短時間で。 |
| 軽い家事(料理、洗濯) | 術後3日~1週間 | 無理のない範囲で。重いものを持つ(洗濯カゴ、買い物袋)のは避ける。 |
| 車の運転 | 術後1週間程度 | 鎮痛剤を服用中は運転禁止。痛みで急な操作ができない場合は控える。 |
| 軽い運動(ウォーキング) | 術後1週間~2週間 | むくみや拘縮の軽減に効果的。無理のない範囲で。 |
| 激しい運動(筋トレ、ランニング) | 術後1ヶ月~(医師の許可後) | 徐々に強度を上げていく。痛みや違和感があれば中止する。 |
経験から言える最も重要なことは、復帰を焦らないことです。「これくらい大丈夫だろう」という油断が、回復を遅らせる最大の敵です。施術前のカウンセリングで、ご自身の仕事内容を具体的に医師に伝え、どのくらいの休暇が必要か、現実的なスケジュールをシミュレーションしておくことが、ダウンタイムを乗り切る鍵となります。

6. ボディコントアリング後の食事と栄養
ボディコントアリングのダウンタイム中は、安静にしているだけでなく、「何を食べるか」ということも回復速度に大きく影響します。手術で受けたダメージを効率よく修復し、腫れやむくみを早く引かせるためには、戦略的な栄養摂取が不可欠です。
よく「ダウンタイム中は食べない方が痩せるのでは?」と考える方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。体は傷を治すために、通常時よりも多くのエネルギーと栄養素を必要としています。栄養不足は、回復の遅れや感染症のリスクを高めることにもつながりかねません。
では、具体的にどのような栄養素を摂取すればよいのでしょうか。
回復を早めるために積極的に摂りたい栄養素
ダウンタイム中に意識して摂取したいのは、主に以下の栄養素です。
- タンパク質(プロテイン)
最も重要な栄養素です。タンパク質は、皮膚、筋肉、血液など、体を作る全ての材料となります。手術によるダメージを修復し、新しい組織を作るために大量に消費されます。
・食材例: 鶏むね肉、ささみ、卵、白身魚、豆腐、納豆、プロテインドリンクなど。 - ビタミンC
皮膚や血管を丈夫にするコラーゲンの生成を助けます。また、傷の治癒を促進し、内出血の回復を早める効果が期待できます。
・食材例: パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類など。 - ビタミンB群
タンパク質や脂質の代謝を助け、エネルギー生成をサポートします。疲労回復や皮膚の健康維持にも欠かせません。
・食材例: 豚肉、うなぎ、レバー、玄米、バナナなど。 - 亜鉛
細胞の再生や免疫機能の維持に働くミネラルです。傷の治りを早めるために重要な役割を果たします。
・食材例: 牡蠣、赤身肉、レバー、ナッツ類など。
これらの栄養素をバランスよく摂取するための食事例を以下に示します。
| 摂取したい栄養素 | 主な働き | おすすめの食材・メニュー |
|---|---|---|
| タンパク質 | 組織の修復、体力回復 | 湯豆腐、鶏ささみのサラダ(ノンオイル)、白身魚のホイル焼き |
| ビタミンC | コラーゲン生成、傷の治癒促進 | キウイやいちごのスムージー、温野菜(ブロッコリー・パプリカ) |
| ビタミンB群 | 代謝促進、疲労回復 | 豚肉のしゃぶしゃぶ、納豆、玄米粥 |
ダウンタイム中に避けるべき食事・嗜好品
逆に、回復を妨げる可能性があるため、ダウンタイム中は控えた方がよいものもあります。
- 塩分の多い食事
ラーメン、スナック菓子、加工食品など塩分の多い食事は、むくみを悪化させる最大の原因です。術後1ヶ月程度は、できるだけ薄味を心がけましょう。 - アルコール(飲酒)
アルコールは血管を拡張させ、血流を良くします。これは腫れや内出血を悪化させることにつながります。また、肝臓に負担をかけるため、体の修復が遅れる可能性もあります。最低でも術後1週間(できれば1ヶ月)は禁酒が推奨されます。 - 喫煙(タバコ)
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させ、血流を悪化させます。これにより、傷の治りが極端に遅くなったり、感染のリスクが高まったりします。ボディコントアリングの仕上がりに深刻な影響を与えるため、術前からの禁煙が強く求められます。
術後は痛みや圧迫着のストレスで食欲が湧かないこともあるかもしれません。そのような時は、無理に固形物を食べようとせず、プロテインドリンクや具沢山のスープ、ゼリー飲料などで、最低限のタンパク質とビタミンを補給することを優先してください。
※関連記事:脂肪溶解注射(BNLS、カベリン等)の効果とリアル|顔痩せ・部分痩せ
7. むくみを早く引かせるためのセルフケア
ボディコントアリングのダウンタイム、特に術後1週間から1ヶ月の時期は、「むくみ(浮腫)」との戦いになります。痛みや内出血が落ち着いてきた頃に、今度は体がパンパンにむくんでしまい、「本当に細くなるんだろうか」と不安になる時期です。
このむくみの原因は、手術の影響で一時的にリンパ液や水分の排出が滞ることです。しかし、適切なセルフケアを行うことで、このつらい時期を短縮させることが可能です。
圧迫着の着用や、前述の塩分を控えた食事はもちろんですが、それ以外にできるセルフケアをご紹介します。
1. 水分摂取を「あえて」行う
「むくんでいるから水分を控える」というのは逆効果です。体内の水分が不足すると、体は危険を感じてさらに水分を溜め込もうとします。
適切な水分補給(1日1.5~2リットル目安)は、体内の老廃物を排出し、巡りを良くするために不可欠です。冷たい水ではなく、常温の水や白湯(さゆ)をこまめに飲むのがおすすめです。
2. 軽い運動(ウォーキング)
安静にしすぎていると、血流やリンパの流れが滞り、むくみは改善しません。医師の許可が出たら(通常、術後1週間頃から)、軽いウォーキングを始めてみましょう。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、歩くことで下半身の血液をポンプのように心臓へ戻す働きがあります。1日20~30分程度、無理のない範囲で歩くことは、むくみ改善に非常に効果的です。
3. 体を温め「すぎない」
術後1~2週間は、まだ炎症が残っている時期です。この時期に長時間の入浴やサウナなどで体を温めすぎると、血流が良くなりすぎて、かえって腫れやむくみが悪化することがあります。
湯船への入浴は医師の許可が出てから(抜糸後など)にし、最初はぬるめのお湯で短時間から始めましょう。シャワーで済ませる時期も、体を冷やさない程度に留めるのが賢明です。
4. 就寝時の体勢を工夫する
むくみは重力の影響を強く受けます。特に下半身(太もも、ふくらはぎ)の施術を受けた場合は、就寝時に足元にクッションや枕を置き、心臓より少し高くして寝ると、翌朝のむくみが軽減されます。
5. 医師の許可を得てからのマッサージ
術後1ヶ月を過ぎ、拘縮(こうしゅく:皮膚が硬くなる症状)が始まると、医師からマッサージやストレッチの指導が入ることがあります。
これは自己判断で絶対に行わないでください。早すぎるマッサージは、内出血を悪化させたり、皮膚の定着を妨げたりする可能性があります。必ず医師の診察を受け、「いつから」「どの程度の強さで」行なって良いかを確認してからにしましょう。
これらのセルフケアは、即効性があるものではありません。しかし、日々の地道な積み重ねが、確実に回復を早め、1日も早く理想のラインに出会うための近道となります。
※関連記事:男性のためのボディコントアリング|腹筋を割り、逆三角形の体を作る方法
8. 傷跡のケアと経過
ボディコントアリング、特に脂肪吸引や皮膚のたるみ取り(切開リフト)では、どうしても傷跡(手術痕)が残ります。脂肪吸引は数ミリ程度の小さな切開ですが、たるみ取りでは数センチに及ぶ切開線が残ることもあります。
医師は、シワの中や下着に隠れる場所など、できるだけ傷跡が目立たない場所を選んで切開します。しかし、その傷跡が最終的にどれだけ綺麗に治るかは、術後のケア次第な部分も大きいのです。
私が見てきた中でも、体質は同じでも、ケアをしっかり行った方とそうでない方とでは、数年後の傷跡の目立ち具合に明らかな差が出ていると感じます。
傷跡の一般的な経過(成熟)
傷跡は、以下のプロセスを経て徐々に目立たなくなっていきます。この全プロセスには半年~1年以上かかります。
- 炎症期(術後~1ヶ月): 傷が閉じたばかりの時期。赤みがあり、少し盛り上がっていることも。非常にデリケートな状態。
- 増殖期(術後1ヶ月~3ヶ月): 傷を修復しようとコラーゲンが活発に作られる時期。傷跡が硬くなり、赤みや茶色みが強くなる(色素沈着)。この時期に傷が一番目立つと感じる人が多い。
- 成熟期(術後3ヶ月~1年以上): 過剰に作られたコラーゲンが再編成され、傷跡が徐々に柔らかく、白っぽく平らになっていく。
傷跡を綺麗に治すための3大ケア
傷跡の経過、特に「増殖期」をいかに上手に乗り切るかが、最終的な仕上がりを左右します。以下のケアを徹底しましょう。
1. 摩擦・緊張からの保護(テーピング)
傷跡は、引っ張られたり擦れたりする物理的な刺激に非常に弱いです。この刺激が加わると、体は「もっと丈夫に治さないと!」とコラーゲンを過剰に作り続け、傷跡が盛り上がったり(肥厚性瘢痕)、幅が広がったりする原因になります。
術後最低でも3ヶ月(できれば6ヶ月)は、専用の保護テープ(医療用テープ)を貼り続け、傷跡を安静に保つことが非常に重要です。
2. 徹底した紫外線対策(UVケア)
術後のデリケートな傷跡が紫外線を浴びると、非常に高い確率で色素沈着(シミ)を起こします。一度色素沈着を起こすと、薄くなるまでに何年もかかったり、消えなくなったりすることもあります。
傷跡が服で隠れない部位(二の腕など)の場合は、保護テープの上からさらにUVカット効果のある衣類を着用する、日焼け止めを徹底するなど、厳重な対策が必要です。
3. 保湿
皮膚が乾燥していると、外部からの刺激を受けやすくなります。テープを交換する際など、傷跡周辺の皮膚を低刺激の保湿剤で優しく保湿し、皮膚のバリア機能を保つことも大切です。
傷跡のケア(テープ交換や保湿)と、前述の圧迫着の着用、むくみ対策マッサージ(拘縮ケア)は、すべて並行して行う必要があります。時期によって優先順位や方法が異なるため、以下の表を参考にしてください。
| 時期 | 傷跡の状態 | 推奨されるケア |
|---|---|---|
| 抜糸まで(~1週間) | 傷口が閉じるまで。 | 濡らさない、触らない。医師の処置に従う。 |
| 術後1ヶ月~3ヶ月 | 赤み・硬さがピーク(増殖期)。 | 保護テープの貼付、紫外線対策、保湿を徹底する。 |
| 術後3ヶ月~6ヶ月 | 徐々に赤みが引き、成熟期へ。 | テーピングを継続(推奨)。紫外線対策、保湿も継続。 |

9. 精神的なケアとモチベーション維持
これまでボディコントアリングのダウンタイムにおける物理的な症状(痛み、腫れ、傷跡)について解説してきましたが、同じくらい重要で、時としてそれ以上に厄介なのが「精神的な落ち込み」です。
施術を受ければすぐに理想の体型になれると思っていたのに、現実は
- パンパンに腫れあがり、施術前より太く見える
- 皮膚が硬くなり、デコボコしてくる(拘縮)
- 内出血のアザだらけで、自分の体が痛々しく見える
- 痛みや不自由さで、思うように動けない
このような状態が続くと、「もしかして失敗したのではないか?」「このまま元に戻らなかったらどうしよう」と、強い不安に襲われることがあります。これは、施術を受けた多くの方が経験する、ごく自然な心の反応です。
特に、術後2週間~1ヶ月頃は注意が必要です。痛みは引いてきたものの、今度は「拘縮(こうしゅく)」がピークを迎えます。
拘縮とは、脂肪吸引後の皮膚が硬くなったり、つっぱったり、表面がデコボコしたりする現象です。これは、傷が治る過程で組織が収縮するために起こる、回復が順調に進んでいる「証拠」でもあります。しかし、その見た目や感触から、不安が最大になりやすい時期なのです。
ダウンタイムの不安を乗り切る方法
このつらい時期を乗り越え、モチベーションを維持するためには、いくつかの「心の準備」が役立ちます。
1. 「拘縮は治癒の証拠」と理解する
前述の通り、拘縮は「失敗」ではなく「成功へのプロセス」です。デコボコや硬さを感じるたびに、「今、体が引き締まろうと頑張ってくれている」と捉え方を変えてみましょう。この拘縮は、術後3ヶ月~半年かけて必ず和らぎ、滑らかになっていきます。
2. 施術前の写真と比較する
ダウンタイム中は、毎日鏡を見て「まだ腫れている」「まだ太い」と落ち込みがちです。しかし、人間の記憶は曖昧なもの。施術直前の「ビフォー写真」をしっかり撮っておき、術後1ヶ月、3ヶ月の時点で冷静に比較してみてください。腫れやむくみがあっても、確実にラインが変化していることに気づけるはずです。
3. 小さな目標を設定する
「半年後に完璧なボディラインになる」という大きな目標だけでは、道のりが長すぎて心が折れてしまいます。
- 「まずは圧迫着の着用を1週間頑張る」
- 「今週はウォーキングを毎日続ける」
- 「来月、この(少し細身の)パンツを履いてみる」
このように、短期的な目標をクリアしていくことが、モチベーションの維持につながります。
4. 一人で抱え込まない
信頼できる家族や友人に、今の不安な気持ちを聞いてもらうだけでも、心は軽くなります。また、SNSなどで同じ施術のダウンタイムを経験している人の記録(ブログや体験談)を見るのも参考になりますが、あくまで個人差があることを忘れてはいけません。
最も信頼できるのは、あなたの体を実際に執刀した医師です。不安がピークに達する前に、「こういう状態だが大丈夫か」とクリニックに連絡し、専門家の「大丈夫、順調です」という言葉をもらうことが、何よりの安心材料になります。
10. ダウンタイムを乗り越え、新しい自分へ
ここまで、ボディコントアリングのダウンタイムについて、症状の経過から具体的なケア方法まで詳しく解説してきました。痛み、腫れ、内出血、そして拘縮。これらは、理想のボディラインを手に入れるために避けては通れないプロセスです。
ダウンタイムは、決して「楽な時間」ではありません。むしろ、身体的な痛みや不自由さ、精神的な不安との戦いです。特に、施術から1ヶ月程度は、腫れや拘縮によって、本当に細くなるのか不安に駆られることも多いでしょう。
しかし、思い出してください。あなたがなぜ、この施術を受けると決めたのかを。
- これまで着られなかったタイトな服を、自信を持って着こなしたい。
- コンプレックスだった部位を気にせず、レジャーやファッションを楽しみたい。
- 自分自身にもっと自信を持ち、前向きな毎日を送りたい。
ダウンタイムは、その理想の未来を迎えるための「準備期間」に他なりません。手術で受けたダメージを体が一生懸命に修復し、新しいボディラインを形成している、非常に重要な時間です。
私が見てきた多くの経験者の方々も、つらい拘縮の時期を乗り越え、術後3ヶ月、6ヶ月と経過するにつれて、徐々に引き締まっていく自身の体に驚き、そして心からの笑顔を取り戻していきます。「あの時、頑張って乗り越えてよかった」と。
ダウンタイム中に起こる様々な症状は、体が順調に回復しているサインです。痛みは炎症が治まるサイン、腫れやむくみは水分が排出される前の段階、そして拘縮は組織が引き締まっているサインなのです。
今あなたが感じている不便さや不安は、永遠には続きません。必ず終わりが来ます。その先には、あなたが望んでいた新しい自分が待っているはずです。
適切な知識とセルフケアが、理想のボディラインへの近道
ボディコントアリングのダウンタイムを乗り切るための完全ガイドをお届けしました。施術後の体には、痛み、腫れ、内出血、そして拘縮といった様々な変化が訪れます。これらは、体が受けたダメージを修復し、新しいボディラインを形成するために必要な、正常な治癒プロセスです。
重要なのは、これらの症状が「いつピークを迎え、いつ頃落ち着くのか」という経過の全体像をあらかじめ知っておくことです。先が見えない不安は、ダウンタイムを何倍もつらいものにします。しかし、「この痛みは3日でピークを越える」「この拘縮は順調な証拠だ」と理解していれば、冷静に対処することが可能です。
ダウンタイムは、医師にすべてを任せる期間ではありません。圧迫着の忠実な着用、回復を助ける栄養摂取、むくみを流すためのセルフケア、そして傷跡の保護。これら術後の地道なケアの積み重ねが、最終的な仕上がりの美しさを大きく左右します。
ダウンタイムは、決して楽な道のりではありませんが、適切に管理すれば必ず乗り越えられます。以下の具体的なアクションから始めてみてください。
- ご自身の生活(仕事内容や家事の状況)を具体的に書き出し、施術を検討しているクリニックの医師に提示して、現実的な復帰スケジュールを相談してください。
- もし施術を控えているなら、今日からタンパク質(鶏肉や豆腐など)を意識した食事を始め、回復に強い体づくりを準備してください。
焦らず、油断せず、ご自身の体をいたわりながら、正しいケアを継続すること。それが、あなたが望む理想の未来を手に入れるための、最も確実な方法です。
※関連記事:ボディコントアリングの費用はいくら?施術内容別の料金相場を徹底解説

