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COLUMN医師監修コラム

ボディコントアリングの失敗とリスク|後悔しないために知るべきこと

2025.12.18

「このお腹の脂肪がなければ、もっと好きな服が着れるのに…」「理想のくびれを手に入れたい」

そう願う方にとって、ボディコントアリングは非常に魅力的な選択肢ですよね。脂肪吸引や脂肪注入、痩身マシンなどを駆使して、文字通り「理想のボディラインを彫刻する」医療技術は、近年目覚ましい進歩を遂げています。

しかし、その一方で、私が美容外科医として日々の診療にあたる中で、「こんなはずじゃなかった」と深く後悔されている方にお会いする機会も、残念ながらゼロではありません。華やかな症例写真の裏側には、深刻な失敗やリスクが隠れている可能性も常にあるのです。

この記事では、長年ボディコントアリングの現場に携わってきた専門家の視点から、目を背けたくなるような具体的な失敗例、その原因、そして後悔しないために本当に知っておくべきことを、包み隠さず徹底的に解説します。これは決して、施術を諦めさせるための記事ではありません。正しい知識という「高精度のコンパス」を手にすることで、不確実な不安を取り除き、自信を持って理想の自分へ踏み出すための一助となれば幸いです。


1. ボディコントアリングで起こりうる失敗例

「失敗」と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。患者様が抱く「理想」と、施術後の「現実」との間に生じるギャップが、すなわち「失敗」と感じられるわけです。

私がこれまでの経験で見てきた中で、特に相談が多い失敗例は、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類できます。

  • デザイン(審美面)の失敗: 見た目が不自然になるケースです。
  • 皮膚表面の問題: 脂肪は減ったけれど、皮膚がたるんだり凸凹になったりするケース。
  • 健康上・身体的な問題: 痛み、しこり、感染症など、身体に直接的な異常が起こるケース。

ボディコントアリングは、ただ闇雲に脂肪を減らす手術ではありません。皮下脂肪、筋肉、骨格、そして皮膚の伸縮性という、非常に多くの要素を考慮しながら、三次元的なバランスを整える、極めて繊細な技術が要求されます。

例えば、「とにかくお腹の脂肪を限界まで取ってほしい」というご要望。その気持ちは痛いほど分かります。しかし、皮膚の収縮力や全体とのバランスを無視して脂肪を取りすぎると、どうなるでしょうか?答えは、次の見出しから詳しく解説するような、深刻な「凸凹」や「たるみ」です。

まずは、どのような失敗が起こりうるのか、その全体像を把握することが重要です。以下の表で、主な失敗のカテゴリーとその具体例を整理してみましょう。

失敗のカテゴリー 具体的な失敗例 主な原因
デザイン(審美面)の失敗 ・左右非対称
・取りムラ、不自然な段差
・理想と違う形(くびれの位置など)
・脂肪の取りすぎ(痩せすぎ、不健康な印象)
・医師の技術不足
・デザインの甘さ
・術前のシミュレーション不足
・患者とのイメージ共有の失敗
皮膚表面の問題 ・皮膚の凸凹(デコボコ)
・皮膚のたるみ、シワ
・色素沈着、ケロイド
・脂肪の過剰吸引
・皮膚の浅い層への不適切なアプローチ
・皮膚の収縮力(弾力)の見極めミス
・術後の不適切なケア
健康上・身体的な問題 ・しこり(脂肪注入後)
・感染症、膿瘍
・長引く痛み、内出血、腫れ
・感覚の鈍麻、麻痺
・重篤な合併症(脂肪塞栓、臓器損傷など)
・医師の未熟な手技
・衛生管理の不備
・広範囲の過度な施術
・患者の体質、基礎疾患

このように、ボディコントアリングの失敗は、単なる「痩せなかった」という問題ではなく、時として深刻な美容的・健康的な後遺症を残す可能性があるのです。これらのリスクを一つひとつ詳しく見ていきましょう。

関連記事:理想の身体をデザインする「ボディコントアリング」とは?脂肪吸引との違いを解説


2. デザインの失敗(不自然な形、左右非対称)

ボディコントアリングにおける最も悲しい失敗の一つが、「理想と違う形になった」というデザイン面での失敗です。

人間の身体は、元々完全な左右対称ではありません。骨格の歪み、筋肉のつき方、脂肪の分布には、必ず個人差としての「左右差」が存在します。経験豊富な医師は、この元々の左右差を正確に診断し、「術後に左右が揃って見えるように」あえて左右で吸引量や注入量を変える、といった調整を行います。

しかし、この見極めが甘いと、悲劇が起こります。

以前、他院での修正希望で来られた患者様がいました。その方は「右の腰のくびれが、左に比べて浅い」と悩んでおられました。術前の写真とCTを拝見すると、原因は明らかでした。元々あった骨盤の傾きを考慮せず、左右同じように脂肪吸引を行ってしまったため、元々の左右差がむしろ強調される結果となっていたのです。

このように、デザインの失敗はいくつかのパターンに分けられます。

  1. 明らかな左右非対称
    • くびれの位置や深さが左右で違う。
    • お尻の丸みや高さが左右で異なる(脂肪注入の場合)。
    • 太ももの太さが均一に細くなっていない。
  2. 不自然なラインや段差
    • 吸引した部分と、していない部分の境界線が「段差」になってくっきり分かってしまう。
    • 本来あるべき丸みがなくなり、直線的で不自然なラインになる。(例:女性らしいお尻の丸みが削げてしまう)
    • 脂肪を取りすぎて、肋骨や骨盤の骨が浮き出てしまい、不健康で痩せこけた印象になる。
  3. イメージの不一致
    • 患者様が「グラマラスなカーブ」を望んでいたのに、医師が「スレンダーなライン」を目指してしまい、仕上がりが痩せすぎて物足りない。
    • 逆に、少し細くしたいだけだったのに、大幅に吸引されてしまい、全体のバランスが崩れた。

これらの失敗の根底にあるのは、医師の技術力不足と、患者様とのコミュニケーション不足です。

ボディコントアリングは、粘土細工のように身体をデザインするアートの側面も持っています。医師がどれだけ「理想のボディライン」に関する美的センスと解剖学的知識を持ち、それを実現するための正確な手技を持っているか。そして、患者様が頭の中に描いている「理想のイメージ」を、医師がどれだけ正確に汲み取り、共有できるか。

この二つの歯車が噛み合わなければ、満足のいく結果は決して得られません。特に、術前のカウンセリングやデザイン(手術室で身体にマーキングする作業)を軽視するクリニックは、こうしたデザインの失敗を起こすリスクが高いと言えるでしょう。


3. 皮膚の凸凹やたるみ

「脂肪さえなくなれば、綺麗になれる」…そう思っていませんか?実は、これが大きな落とし穴です。ボディコントアリング、特に脂肪吸引において、最も頻繁に発生し、かつ修正が困難な失敗が、この皮膚表面の凸凹(デコボコ)たるみです。

想像してみてください。風船がパンパンに膨らんでいる時、表面は滑らかです。しかし、そこから急激に空気を抜くと、風船はどうなるでしょうか?表面はシワシワにたるんでしまいますよね。

これと同じことが、私たちの皮膚でも起こります。

皮下脂肪がパンパンに詰まっていた皮膚は、脂肪吸引によって急激に中身が失われると、その分だけ「皮が余る」状態になります。通常、皮膚には元の状態に戻ろうとする「収縮力(弾力)」があるため、術後は徐々に引き締まっていきます。しかし、この収縮力には限界があります。

たるみが発生しやすい要因は以下の通りです。

  • 年齢: 年齢と共に皮膚のコラーゲンやエラスチンは減少し、収縮力は低下します。
  • 吸引量: 一度に大量の脂肪を吸引すれば、それだけ皮膚は余りやすくなります。
  • 元の皮膚の状態: 急激なダイエットや出産を経験し、すでにたるみや妊娠線がある場合、リスクは高まります。
  • 部位: 二の腕の振袖部分や、下腹部、太ももの内側などは、元々皮膚が薄くたるみやすい部位です。

一方、凸凹(デコボコ)は、主に医師の手技に起因する問題です。

脂肪吸引は、掃除機のように一気に脂肪を吸い出すわけではありません。カニューレと呼ばれる細い管を使い、皮下脂肪の層を均一に、丁寧にかき取るように吸引していきます。この時、吸引が不均一だとどうなるでしょうか。

取りすぎた部分は凹み、残しすぎた部分は凸として残ります。これが、術後に皮膚表面がボコボコになる「凸凹」の正体です。特に、皮膚の直下にある浅い層の脂肪(LFD)を無理に取ろうとすると、皮膚が癒着(ゆちゃく:くっついてしまうこと)を起こし、ひきつれや硬い凹凸の原因となりやすいのです。

私が診察した患者様の中にも、他院での吸引後、「お腹が洗濯板のようになった」と涙ながらに訴える方がいらっしゃいました。その方の皮膚は硬くひきつれ、明らかに浅い層を無理に攻めた痕跡がありました。こうなると、修正は極めて困難になります。

この「たるみ」と「凸凹」のリスクを回避するためには、医師が術前に患者様の皮膚の弾力を正確に診断し、「どの層の脂肪を、どれくらいまでなら安全に取れるか」を見極める能力が不可欠です。

問題 主な原因 予防・対策
皮膚の凸凹(デコボコ) ・医師の未熟な手技(吸引ムラ)
・浅い脂肪層への過度なアプローチ
・不適切なカニューレの使用
・経験豊富で技術の高い医師を選ぶ
・均一な吸引が可能な機器(ベイザーなど)の使用
・術後の圧迫固定とマッサージを適切に行う
皮膚のたるみ ・皮膚の収縮力を超えた大量の脂肪吸引
・加齢や出産後など、元々の皮膚の弾力低下
・術後のケア不足
・医師が皮膚の弾力を正確に診断する
・一度に吸引しすぎない(分割手術の検討)
・皮膚の引き締め効果がある機器(J-Plasmaなど)の併用を検討する

4. 脂肪注入後のしこりや感染症

ボディコントアリングは、脂肪を「取る」だけではありません。取った脂肪を胸やお尻に注入し、メリハリのあるラインを作る「脂肪注入」も人気の施術です。

自分の脂肪を使うため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低いのが大きなメリットですが、もちろんデメリットやリスクも存在します。それが、しこり(石灰化)感染症です。

しこり(石灰化・オイルシスト)

注入された脂肪細胞が、その場所で生き残る(=生着する)ためには、周囲の組織から新しく血管が伸びてきて、酸素や栄養をもらう必要があります。

しかし、一度に大量の脂肪をドバっと注入したり、一箇所に塊(かたまり)で注入したりすると、中心部の脂肪細胞にまで栄養が行き渡りません。結果、これらの脂肪細胞は生着できずに死んで(壊死して)しまいます。

壊死した脂肪は、体にとっては「異物」です。そのため、免疫細胞が反応し、その周りを硬い膜(カプセル)で覆いこんだり、カルシウムが付着(石灰化)したりします。これが「しこり」の正体です。また、壊死した脂肪が溶けてオイル状になり、それが袋状の膜(シスト)に溜まる「オイルシスト」も、しこりの一種です。

小さなものであれば問題ありませんが、大きく硬いしこりは、見た目で分かるだけでなく、痛みを伴うこともあります。特に乳房への脂肪注入(豊胸)の場合、このしこりが乳がん検診(マンモグラフィやエコー)で「がん」と区別がつきにくいという、深刻な問題を引き起こす可能性も指摘されています。

感染症

これは脂肪注入に限らず、脂肪吸引でも起こりうる、最も避けなければならないリスクの一つです。

脂肪吸引・注入は、皮膚に小さな穴(切開)を開けて行います。その傷口から細菌が侵入したり、使用する器具が不衛生だったりすると、体内で細菌が繁殖し、感染症を引き起こします。

感染が起こると、施術部位が異常に赤く腫れ上がり、激しい痛いや高熱が出ます。最悪の場合、皮膚が壊死したり、膿が溜まる「膿瘍(のうよう)」を形成したりすることもあります。

私が研修医時代に指導医から叩き込まれたのは、「手術は、清潔と不潔の戦いだ」ということです。クリニックの衛生管理体制、手術室の清潔度、器具の滅菌処理、医師やスタッフの手洗い…。これら当たり前のことが、当たり前に徹底されているかどうかが、感染症リスクをゼロに近づける唯一の方法です。

以下の表で、しこりと感染症のサインと対処法をまとめます。万が一、術後にこのような症状が出た場合は、絶対に放置せず、すぐに施術を受けたクリニックに連絡してください。

リスク 主な初期症状・サイン 考えられる原因 対処法
しこり・石灰化 ・皮膚の上から触れる硬い塊
・痛みや違和感(ない場合も多い)
・時間の経過と共に硬くなる
・一度に大量の脂肪を注入
・不均一な注入(塊での注入)
・脂肪細胞の壊死
・まずは医師の診察を受ける
・軽度なら経過観察
・ステロイド注射、マッサージ
・重度の場合は摘出手術
感染症 ・施術部位の異常な赤み、腫れ
・ズキズキとした激しい痛み
・局所的な熱感
・高熱、悪寒、倦怠感
・手術室や器具の衛生管理不備
・術後の傷口ケアの不備
・患者の免疫力低下
緊急を要する。即時クリニックに連絡
・抗生物質の投与(点滴・内服)
・膿が溜まっている場合は切開排膿

関連記事はこちら:ボディコントアリングの全て|施術の種類・効果・ダウンタイムを完全網羅


 

5. 広範囲の施術に伴う健康上のリスク

「どうせダウンタイムを取るなら、一度に全部やってしまいたい」

お腹、太もも、二の腕、背中…。気になる部位を一度の手術でまとめて綺麗にしたい、というお気持ちはよく分かります。しかし、美容外科医の立場から言わせていただくと、これは最も危険な考え方の一つです。

施術範囲が広くなればなるほど、身体への負担は比例して増大します。それは単なる「ダウンタイムが長引く」というレベルではなく、時として生命に関わる重篤な合併症のリスクを跳ね上げる行為なのです。

広範囲の施術に伴う主なリスクは以下の通りです。

    1. 出血量・麻酔量のリスク
      • 脂肪吸引は、脂肪だけでなく血液や体液(リンパ液)も一緒に吸引してしまいます。吸引量が増えれば、当然、出血量も増えます。過度な出血は貧血やショック状態を引き起こす可能性があります。
      • また、広範囲の施術は手術時間が長くなり、使用する麻酔薬(特に局所麻酔薬)の量も増えます。これにより、麻酔薬中毒やアレルギー反応のリスクが高まります。
    2. 脂肪塞栓症(しぼうそくせんしょう)
      • これは脂肪吸引における最も恐ろしい合併症の一つです。手術中に傷ついた血管から脂肪の粒(脂肪滴)が入り込み、それが血流に乗って肺や脳の血管に詰まってしまう状態です。
      • 呼吸困難や意識障害を引き起こし、死亡に至るケースも報告されています。施術範囲が広く、吸引量が多いほど、このリスクは高まるとされています。
    3. 臓器損傷
      • 非常に稀ですが、医師の未熟な手技により、カニューレが腹壁を貫通し、腸などの内臓を傷つけてしまうリスクもゼロではありません。広範囲の施術で医師が疲弊し、集中力が途切れた際に起こりやすいとも言えます。

 

私のクリニックでは、患者様がいくら「全部やってほしい」と希望されても、安全を最優先し、1日の脂肪吸引量は最大でも体重の5%以内(例:50kgの人なら2500ccまで)と厳格に定めています。そして、全身の施術を希望される場合は、必ず2回か3回に分けて行うよう提案しています。

「他のクリニックでは一度に全部やってくれると言われた」とおっしゃる方もいますが、それは「安全」を「効率」と引き換えにしているに過ぎません。美容医療は、健康な身体があってこそ成り立つものです。その土台を脅かしてまで行う施術は、決して「美容」とは呼べないと私は考えます。

施術範囲 主なリスク 身体への負担 推奨される考え方
限定的(例:お腹だけ) ・一般的な手術リスク(出血、感染など)は存在するが、比較的低い 低い〜中程度 日帰り手術も可能。ダウンタイムも管理しやすい。
広範囲(例:お腹+太もも+二の腕) 大量出血、貧血、ショック
麻酔薬の過剰投与
脂肪塞栓症(重篤)
・臓器損傷(稀だが重篤)
・術後の回復が著しく遅れる
非常に高い 絶対に推奨されない。
安全性を最優先し、必ず複数回に分割して施術を行うべき。


6. 失敗しないための医師・クリニック選び

ここまで様々なリスクや失敗例をお話ししてきましたが、これらの多くは「適切な医師とクリニック」を選ぶことで、その確率を限りなくゼロに近づけることができます。

では、何を基準に選べば良いのでしょうか?広告や料金の安さ、症例写真の美しさだけに目を奪われてはいけません。私が専門家として、もし自分の家族が施術を受けるとしたら、という視点でチェックするポイントを厳選しました。

「良い医師・クリニック」を見極めるための絶対条件は、以下の通りです。

      • 専門性と経験
        • その医師は、ボディコントアリング(脂肪吸引・注入)の専門医ですか?(例:形成外科専門医、美容外科専門医など)
        • ボディコントアリングの症例数は豊富ですか?(歴や症例数は一つの目安です)
        • 所属学会や資格は明確ですか?
      • カウンセリングの質
        • 医師自らが、十分な時間をかけてカウンセリングを行っていますか?(カウンセラー任せにしていませんか?)
        • あなたの希望を丁寧にヒアリングした上で、できないことは「できない」と正直に伝えてくれますか?
        • メリットだけでなく、リスクやデメリット、ダウンタイムについて、あなた自身が「もう十分」と思うまで詳しく説明してくれましたか?
      • 安全性への取り組み
        • 麻酔科医は常駐していますか?(特に全身麻酔の場合)
        • 緊急時の対応体制(提携病院、救急蘇生器具の配備)は万全ですか?
        • 衛生管理(滅菌処理、手術室の清潔度)は徹底されていますか?
      • アフターケアの体制
        • 術後の検診やケアは、料金に含まれていますか?
        • 万が一、トラブルや合併症が起きた際、すぐに対応(診察、処置)してくれる体制がありますか?
        • 夜間や休日の緊急連絡先はありますか?

これらのポイントを、カウンセリングの場でご自身の目で確かめることが非常に重要です。以下のチェックリストを参考に、最低でも2〜3箇所のクリニックを比較検討することをお勧めします。

チェック項目 Aクリニック Bクリニック Cクリニック
医師が専門医資格を持っているか?
医師自らが丁寧にカウンセリングしたか?
リスクやデメリットの説明は十分だったか?
広範囲の同時施術を安易に勧めなかったか?
麻酔科医の体制や緊急時対応は明確か?
アフターケアや保証の内容は手厚いか?
総合評価(信頼できるか?)

「この先生になら、自分の身体を任せられる」と心から思える医師に出会えるまで、決して妥協しないでください。その手間を惜しむことが、後悔しないための最大の防御策となります。

参考ページ:男性のためのボディコントアリング|腹筋を割り、逆三角形の体を作る方法


7. 3Dシミュレーションでのイメージ共有の重要性

「デザインの失敗」のセクションでも触れましたが、術後の満足度を左右する最大の要因は、「患者様の理想」と「医師の仕上がりイメージ」が、術前にどれだけ精密に一致しているか、という点に尽きます。

「もう少し、ここをこう…シュッとさせてほしいんです」
「分かりました。いい感じにくびれさせますね」

…一見、コミュニケーションが取れているように見えますが、これでは全く不十分です。「シュッと」や「いい感じ」という言葉の解釈は、人によって全く異なります。

私が以前勤めていたクリニックでは、まだこうした曖昧な言葉と、手書きのマーキングだけで手術に臨むことが多くありました。その結果、「思っていたのと違う」というクレームが後を絶たなかったのです。

この根本的な問題を解決するために、現在多くの先進的なクリニックで導入されているのが、3Dシミュレーションシステムです。

これは、患者様の身体を専用のカメラで撮影し、コンピュータ上(3D)で再現。その3Dモデルを見ながら、「ここをこれくらい吸引したら、術後はこうなります」「お尻に脂肪を注入すると、こういう丸みが出ます」といった変化を、視覚的にシミュレーションできる技術です。

3Dシミュレーションのメリットは計り知れません。

      1. イメージの具体化と共有
        • 患者様は、自分の身体がどう変わるのかを客観的に、かつ具体的に見ることができます。「なんとなく」だった理想が、明確な「完成図」になります。
        • 医師も、患者様の希望を正確に把握できます。「このラインは好き」「ここはもう少し細くしたい」といった微調整を、画面上で一緒に行うことができます。
      2. 非現実的な期待の防止
        • 「このモデルさんのようになりたい」という写真を持ってこられても、骨格や筋肉量が違えば、全く同じにはなれません。
        • 3Dシミュレーションは、あくまで「ご自身の身体」をベースに変化を予測します。そのため、「あなたの骨格の場合、ここまでが限界です」「これ以上取ると不自然になりますよ」といった現実的な着地点を、客観的なデータとして示すことができます。これにより、術後の「こんなはずじゃなかった」というギャップを最小限に抑えられます。
      3. デザインの精度向上
        • 医師は、シミュレーションで決定した「完成図」を元に、より精密な手術計画を立てることができます。左右差の調整や、吸引・注入の量を数値で管理することも可能です。

もちろん、シミュレーションはあくまで「予測」であり、100%その通りになると保証するものではありません。術後の回復過程には個人差がありますから。しかし、この「完成図の共有」というプロセスを経るか否かで、デザインの失敗リスクは劇的に変わります。

カウンセリングの際に、「3Dシミュレーションを使ったデザインは可能ですか?」と、ぜひ質問してみてください。その導入状況からも、クリニックがどれだけ「仕上がりの精度」と「患者様とのイメージ共有」を重視しているか、その姿勢を垣間見ることができるでしょう。

参考:ボディコントアリングの費用はいくら?施術内容別の料金相場を徹底解説


8. ボディコントアリングの修正手術は可能か

もし、万が一「失敗した」と感じた場合、やり直すことはできるのでしょうか?

これは、多くの方が抱く切実な疑問だと思います。結論から言うと、「修正手術は可能だが、非常に難易度が高く、限界もある」というのが、私の正直な答えです。

なぜ難しいのか?それは、最初の手術(初回手術)によって、体内の組織が大きく変化してしまっているからです。

      • 組織の癒着(ゆちゃく)手術で傷ついた組織は、治癒の過程で周囲とくっつき(癒着し)、硬くなります。特に脂肪吸引後の皮膚の下は、硬い瘢痕組織(はんこんそしき)で覆われていることが多く、カニューレを挿入すること自体が困難になります。
      • 取りすぎた脂肪は戻せない凸凹(デコボコ)の修正は、「取りすぎた部分(凹み)」に合わせて、周囲の「残っている部分(凸)」をさらに吸引する…という、非常に繊細な作業になります。しかし、根本的に「取りすぎた」脂肪を元に戻すことはできません。
      • 皮膚のダメージ一度たるんでしまったり、凸凹によってひきつれたりした皮膚を、完全に元の滑らかな状態に戻すのは、ほぼ不可能です。

私が担当する修正手術の多くは、この硬い瘢痕組織を剥がしながら、残されたわずかな脂肪を均(なら)したり、逆に凹んだ部分に脂肪を注入(コンデンスリッチファットやナノファット)して修正を試みたりするものです。これは、初回手術の何倍も時間と神経をすり減らす作業です。

以下の表は、失敗のケース別に、主な修正方法とその難易度を示したものです。

失敗のケース 主な修正方法 難易度 注意点・限界
凸凹(デコボコ) ・凸部分の追加吸引
・凹部分への脂肪注入
・瘢痕組織の剥離
高い 完全に滑らかにするのは困難。注入した脂肪が生着しない可能性もある。
左右非対称 ・多い方を追加吸引
・少ない方に脂肪注入
中〜高い 骨格の歪みが原因の場合、完全な対称は難しい。
たるみ ・皮膚の引き締め(レーザー、高周波)
・余った皮膚の切除(タミータックなど)
中〜高い 引き締め効果には限界がある。皮膚切除は大きな傷跡が残る。
しこり(脂肪注入後) ・ステロイド注射(初期)
・しこり摘出手術
中程度 摘出の際に正常な組織を傷つけるリスク。数が多いと全ては取れない。

修正手術は、術後最低でも6ヶ月、できれば1年が経過し、組織が完全に落ち着いてから行うのが原則です。そして、修正手術は必ず「初回よりも難しく、リスクも高くなる」ことを理解しなくてはなりません。

だからこそ、「最初の施術で失敗しないこと」が、何よりも重要になるのです。


9. 安全に理想の体を手に入れるために

ここまで、ボディコントアリングに伴う様々なリスクや失敗について、現実的な側面をお伝えしてきました。読んでいくうちに、不安が大きくなってしまった方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、忘れてはならないのは、これらのリスクの大部分は、正しい知識と準備によって回避可能であるということです。安全に理想の体を手に入れるために、私たちは「医師任せ」「クリニック任せ」にするのではなく、患者様自身にも主体的に取り組んでいただきたいことがあります。

それは、「施術前」「施術中(医師選び)」「施術後」の3つのフェーズで、ご自身の身体と真剣に向き合うことです。

施術前:ご自身の「現在地」を正確に知る

あなたは、ご自身の身体についてどれだけ知っていますか?

      • 健康状態の申告: 過去の病歴、現在治療中の病気、アレルギー、常用している薬やサプリメント。これらは全て、麻酔や手術のリスクに直結します。「これくらい大丈夫だろう」と隠さず、全て正確に医師に伝えてください。
      • 生活習慣の見直し: 喫煙は、血流を悪化させ、傷の治りを遅らせ、感染症のリスクを高めます。安全な手術のためには、最低でも術前1ヶ月からの禁煙が強く推奨されます。
      • 非現実的な期待を持たない: ボディコントアリングは「魔法」ではありません。あくまで「理想に近づける」ための手段です。骨格や体質は変えられません。前述の3Dシミュレーションなどを通じて、現実的なゴールを医師と共有することが重要です。

施術中(医師選び):安全への投資を惜しまない

これは「6. 医師・クリニック選び」で詳述した通りですが、改めて強調します。

      • 安易な価格で選ばない: 美容医療は自由診療です。しかし、極端に安い価格には、必ず「何か」が削られている理由があります。それは、器具の滅菌コストかもしれませんし、麻酔科医の人件費かもしれません。
      • 安全性と技術への対価: あなたが支払う費用は、医師の技術、最新の安全な機器、万全の医療体制、そして手厚いアフターケア、その全てに対する「対価」です。目先の安さで「安全」を妥協しないでください。

施術後:ダウンタイムを「治療の一環」と捉える

手術が終わった瞬間がゴールではありません。本当の完成は、ダウンタイムが終わった時です。

      • 医師の指示を厳守する: 術後の圧迫固定、内服薬の服用、マッサージ、通院。これらは全て、仕上がりを良くし、合併症を防ぐために必要なプロセスです。面倒でも、自己判断で中断しないでください。
      • 異常を感じたらすぐに連絡: 「これくらい、様子を見よう」という油断が、深刻な事態(感染症など)に繋がることがあります。術後に渡される緊急連絡先を常に携帯し、「いつもと違う」と感じたら、ためらわずにクリニックに連絡してください。

安全なボディコントアリングは、医師と患者様の「二人三脚」で初めて達成できるものなのです。


10. リスクを理解した上で施術を決断する

この記事では、ボディコントアリングで起こりうる失敗例から、その原因、そして後悔しないための具体的な対策まで、幅広く解説してきました。

最もお伝えしたかったのは、ボディコントアリングは、「脂肪を取る(入れる)」というシンプルな行為ではなく、人体の解剖学、美的センス、そして高度な医療技術が要求される、専門性の高い「医療行為」であるという事実です。

そして、どんなに技術が進歩しても、医療である以上、リスクや合併症の可能性をゼロにすることはできません。だからこそ、そのリスクを最小限に抑えるための努力(医師選び、安全管理、術後ケア)が不可欠であり、その努力を怠った瞬間に、「失敗」は現実のものとなります。

この記事を読んで、もしあなたが「それでも私は、このコンプレックスを解消して、理想の自分になりたい」と強く願うのであれば、その決断を私は応援します。そのために、あなたが今日から取るべき具体的なアクションは以下の二つです。

  1. クリニック選びの「チェックリスト」を作成する
    この記事の「6. 医師・クリニック選び」で提示した表(チェックリスト)を参考に、ご自身が何を重視するのかを書き出してみてください。そして、最低2〜3箇所のカウンセリングに行き、そのリストを冷静に埋めてみてください。
  2. カウンセリングで「リスク」と「シミュレーション」について質問する
    カウンセリングは「契約」の場ではありません。「情報収集」と「見極め」の場です。「私の場合、最も懸念されるリスクは何ですか?」「3Dシミュレーションで、仕上がりイメージを共有することはできますか?」この二つを必ず質問し、医師がそれにどう答えるか、誠実に向き合ってくれるかをご自身の目で見極めてください。

納得のいく決断を。後悔しないための「信頼できる医師」の見つけ方

ボディコントアリングは、あなたの人生をより豊かでポジティブなものに変える、素晴らしい可能性を秘めた技術です。その可能性を「後悔」に変えないために、どうか情報を鵜呑みにせず、ご自身の頭で考え、納得がいくまで比較検討し、「信頼できるパートナー」としての医師を見つけてください。

 

関連記事はこちら:豊胸手術で名医を見つける方法|後悔しないクリニック選び7つの条件

 

美容医療は 「自己肯定感を高めるための選択肢のひとつ」 という信念の もと、一人ひとりの美しさと真摯に向き合う診療スタイルを貫いています。現在は、アジアの美容外科医との技術交流や教育にも力を入れ、国際的なネットワークづくりにも取り組んでいます。

  • <所属学会>

  • 日本美容外科学会JSAS

  • 日本美容外科学会JSASPS

  • 日本形成外科学会

  • 乳房オンコプラスティック

  • <資格>

  • 日本外科学会専門医

  • コンデンスリッチファット療法認定医

  • Total Definer by Alfredo Hoyos 認定医

  • VASER Lipo 認定医

  • RIBXCAR 認定医

【監修医師】

Casa de GRACIA GINZA / GRACIA Clinic 理事長 美容外科医・医学博士 樋口 隆男 Takao Higuchi

18年間にわたり呼吸器外科医として臨床に携わり、 オーストラリアの肺移植チームでの勤務経験も持つ。外科医としての豊富な経験を土台に、10年前に美容外科へ転向。現在は東京・銀座と福岡に美容クリニックを展開し、これまでに10,000例以上の脂肪吸引、4,000例を超える豊胸手術を手がけている。特にベイザー脂肪吸引、ハイブリッド豊胸、脂肪注入豊尻、肋骨リモデリング(RIBXCAR)、タミータック、乳房吊り上げなどのボディデザインを得意とし、自然で美しいシルエットづくりに国内外から定評がある。

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