COLUMN医師監修コラム
ボディコントアリングの全て|施術の種類・効果・ダウンタイムを完全網羅
2025.09.30
ただ痩せるだけでは、理想の体は手に入らない——。ダイエットに成功しても、思うようなボディラインにならなかったり、皮膚がたるんでしまったりと、新たな悩みに直面する方は少なくありません。こうした悩みを解決し、全身のバランスを芸術的に彫刻(スカルプティング)するようにデザインする、最高峰のボディメイク術が「ボディコントアリング」です。これは、単一の施術ではなく、脂肪を「取り除く」「移動させる」「引き締める」「筋肉をつける」といった複数の医療技術を戦略的に組み合わせ、一人ひとりの骨格や希望に合わせて、オーダーメイドで理想の体型を造り上げるトータルボディデザインの概念です。本記事では、この究極のボディメイク「ボディコントアリング」を構成する各施術の種類から、ダウンタイム、そして成功に導くための治療計画まで、その全てを徹底的に解説します。
目次
1. ボディコントアリングを構成する施術の種類
ボディコントアリングは、単一の施術を指す言葉ではありません。それは、「脂肪」「皮膚」「筋肉」という、体型を決定づける3つの要素に対して、それぞれに特化した複数の医療技術を組み合わせ、全身のシルエットを彫刻のように美しく整えるという包括的なアプローチです。個々の魅力を最大限に引き出し、理想のボディラインを創造するために、主に以下の4つのカテゴリーの施術が巧みに組み合わされます。- ① 脂肪の除去(リダクション):
不要な部分の皮下脂肪を物理的に取り除く施術です。ただ細くするだけでなく、女性らしいくびれや、男性的な筋肉の陰影を際立たせるための土台作りとなります。
- 代表的な施術: 脂肪吸引
- ② 脂肪の注入(ボリュームアップ):
上記で吸引した自身の脂肪を、ボリュームが欲しい部分に注入し、丸みや立体感を出す施術です。ヒップや胸にハリとボリュームを与えることで、メリハリのある曲線美を創り出します。
- 代表的な施術: 脂肪注入豊胸、脂肪注入豊尻
- ③ 皮膚の引き締め(タイトニング):
脂肪が急激に減少した後や、加齢によってたるんでしまった皮膚を切除し、引き締める施術です。滑らかで若々しいボディラインを取り戻します。
- 代表的な施術: タミータック(腹部リフト)、アームリフト(腕リフト)、サイリフト(太ももリフト)
- ④ 筋肉の増強(マスキュラーデザイン):
自分では鍛えるのが難しい筋肉を、医療機器を用いて増強し、体に健康的なメリハリと立体感を与える施術です。引き締まった腹筋(アブクラックス)や、上向きのヒップラインなどをデザインします。
- 代表的な施術: 医療用EMS(エムスカルプトなど)
2. 【脂肪吸引】不要な脂肪を除去する
ボディコントアリングの基本にして、最も重要な工程が「脂肪吸引」です。これは、カニューレと呼ばれる細い管を用いて、不要な部分の皮下脂肪を直接吸引し、物理的に除去する外科手術です。単に脂肪を減らして細くするだけでなく、残すべき脂肪は残し、くびれや筋肉のラインを美しく見せるようにデザインしながら吸引する、極めて芸術的なセンスと技術が求められる施術です。脂肪吸引の原理と効果
人の脂肪細胞の数は、思春期を過ぎるとほとんど増減しません。自己流のダイエットで痩せるのは、一つひとつの脂肪細胞が「小さくなる」からであり、細胞の数が減るわけではないため、食事を戻せばすぐにリバウンドしてしまいます。 一方、脂肪吸引は、脂肪細胞そのものを吸引して除去するため、細胞の数が物理的に減少します。これにより、施術した部位は脂肪がつきにくくなり、リバウンドのリスクが極めて低いという大きなメリットがあります。主な脂肪吸引の部位
皮下脂肪がある部位であれば、ほとんどの場所で施術が可能です。- 腹部(ウエスト、下腹部、腰): 美しいくびれを創り出す、最も人気の高い部位です。
- 太もも(内側、外側、前面、後面): スキニーパンツが似合う、隙間のあるすらりとした脚を目指します。
- お尻(ヒップ): たるみを解消し、小尻に見せる、またはヒップアップ効果を狙います。
- 二の腕: 振袖のようにたるんだ脂肪を除去し、華奢な腕に。
- 顔(頬、顎下): シャープなフェイスラインと小顔効果が期待できます。
最新の脂肪吸引技術
近年では、より体に負担が少なく、かつ滑らかな仕上がりを実現するための様々な脂肪吸引機器が登場しています。- ベイザー脂肪吸引 (VASER® Lipo): ベイザー波という特殊な超音波を用いて、脂肪細胞だけを選択的に遊離させ、液体状にしてから吸引する方法です。周囲の血管や神経などの組織へのダメージを最小限に抑えられるため、出血が少なく、術後の痛みや腫れ、ダウンタイムを大幅に軽減できます。また、皮膚の引き締め効果も高いため、たるみの予防にも繋がります。
3. 【脂肪注入】ヒップや胸にボリュームを出す
脂肪吸引で取り除いた脂肪は、捨てるだけではありません。それを精製し、ボリュームが欲しい部分に再注入する「脂肪注入」は、ボディコントアリングにおいて、メリハリのある理想的な曲線美を創り出すための重要な技術です。特に、丸みのない平坦なヒップや、サイズアップしたい胸に対して、自身の組織を用いることで、極めて自然で美しいボリュームを与えることができます。脂肪注入のメリット
- 究極のナチュラル感: 注入するのはご自身の脂肪細胞であるため、アレルギーや異物反応のリスクが全くありません。見た目の柔らかさや温かみ、動きの自然さは、他のどの注入物よりも優れています。
- 部分痩せとボリュームアップの同時実現: 脂肪を吸引した部位(お腹や太ももなど)はスリムになり、その脂肪をバストやヒップに活かすことで、一度の施術で全身のボディラインを劇的に改善できます。まさに一石二鳥の施術です。
- 半永久的な効果: 注入した脂肪の一部は体内に吸収されますが、血流を得て生着した脂肪細胞は、その後も自身の組織として半永久的にそこに留まります。シリコンバッグのように破損や交換の心配もありません。
脂肪注入の代表的な部位
- 豊尻(ヒップアップ): 年齢ととも垂れ下がったお尻や、扁平なヒップに丸みと高さを出すことで、若々しいハート型のヒップラインを形成します。脚長効果も生まれ、下半身全体のシルエットが美しくなります。
- 豊胸(バストアップ): シリコンバッグのような大幅なサイズアップには限界がありますが、1〜1.5カップ程度の自然なボリュームアップが可能です。デコルテの削げ感を補ったり、バスト上部にハリを出したり、左右差を整えたりするのに非常に有効です。
脂肪の生着率を高める最新技術
注入した脂肪ができるだけ多く生き残る(生着する)ことが、脂肪注入の成功の鍵です。- 脂肪の濃縮・精製技術: 吸引した脂肪には、麻酔液や老化して死んでしまった細胞などの不純物が含まれています。これらを遠心分離機などを用いて丁寧に取り除き、元気で質の良い脂肪細胞だけを濃縮する技術(コンデンスリッチファット(CRF)法やピュアグラフト法など)を用いることで、生着率が飛躍的に向上し、しこりなどのリスクも低減します。
- 注入技術: 一度に一箇所にまとめて注入するのではなく、細い注入管を用いて、しこりにならないよう多層にわたって少量ずつ、まんべんなく注入する技術も、生着率を高めるために重要です。

4. 【皮膚切除】たるんだ皮膚を取り除く(タミータック等)
大幅なダイエットの成功後や、出産後、加齢などによって、一度伸びてしまった皮膚は、脂肪がなくなっても元のように収縮せず、たるみとして残ってしまうことがあります。この皮膚のたるみは、どんなに運動やマッサージをしても改善することは困難です。このような悩みを根本的に解決するのが、余分な皮膚を物理的に切除し、引き締める「皮膚切除術(ボディリフト)」です。皮膚切除術が必要となるケース
- 急激な体重減少後: 短期間で数十キロ単位のダイエットに成功した、いわゆる「ウエイトロス後」の患者様。お腹や腕、太ももなどに、エプロンのように垂れ下がった皮膚が残ります。
- 出産後の腹部のたるみ: 妊娠によって引き伸ばされた腹部の皮膚と、緩んでしまった腹筋(腹直筋)が元に戻らず、たるんでしまった状態。
- 加齢によるたるみ: 加齢によって皮膚の弾力(コラーゲンやエラスチン)が失われ、重力に負けて垂れ下がってきた二の腕や太ももなど。
代表的な皮膚切除術
- タミータック(腹部リフト / 腹壁形成術): 下腹部の余分な皮膚と脂肪を、下着のラインに隠れるように切開し、広範囲にわたって切除します。同時に、緩んでしまった腹直筋を中央に引き寄せて縫合することで、ウエストのくびれを再形成します。必要に応じて、おへその位置も移動させ、自然な形に作り直します。最もダイナミックな変化が期待できる施術の一つです。
- アームリフト(腕リフト / 上腕形成術): 二の腕の内側から脇の下にかけて、たるんだ皮膚を切除します。腕を閉じた時に傷跡が隠れるようにデザインされますが、ノースリーブなどを着た際には傷が見える可能性があるため、医師との十分なカウンセリングが必要です。
- サイリフト(太ももリフト / 大腿リフト): 太ももの内側の付け根に沿って、余分な皮膚を切除します。たるみだけでなく、左右の脚が擦れてしまう股ずれの悩みも解消できます。
皮膚切除術のポイント
- 傷跡とのトレードオフ: 皮膚切除術は、たるみを劇的に改善できる一方で、必ず長い傷跡が残るというデメリットがあります。この「たるみを取る」というメリットと、「傷が残る」というデメリットを十分に天秤にかけ、納得した上で受けることが重要です。
- 医師の縫合技術: 傷跡をできるだけ目立たなくするためには、形成外科的な知識に基づいた、医師の極めて丁寧な縫合技術が不可欠です。
5. 【筋力増強】医療マシンで筋肉をデザインする
美しいボディラインは、ただ脂肪が少ないだけでは完成しません。適度についた筋肉による立体感と引き締め効果があってこそ、健康的で魅力的なシルエットが生まれます。しかし、仕事や家事で忙しい現代人が、理想的な筋肉を自力でつけるのは容易ではありません。そこで登場するのが、医療機関でのみ使用が許可された、高出力の「医療用EMS(Electrical Muscle Stimulation)」マシンによる筋肉増強治療です。医療用EMSとは?
EMS自体は、家庭用の腹筋ベルトなどでお馴染みですが、医療用はそのパワーと効果のレベルが全く異なります。医療用EMSは、HIFEM(ハイフェム:高密度焦点式電磁場)などの最新技術を用いて、運動神経に直接作用し、筋肉の深層部まで強力に収縮させます。- 超極大筋収縮: 自力でのトレーニングでは到底到達不可能な、極めて強力で高頻度の筋肉収縮(超極大筋収縮)を引き起こします。例えば、代表的な機器である「エムスカルプト」は、30分間の施術で約2万回の腹筋運動に相当する筋収縮を発生させます。
- 筋肉増強と脂肪減少のダブル効果: この強力な筋収縮に反応して、筋肉の線維は太く、密度が高くなります(筋肉増強)。同時に、筋肉が大量のエネルギーを必要とするため、周辺の脂肪細胞から脂肪酸が放出され、脂肪細胞のアポトーシス(細胞死)が誘導されます(脂肪減少)。つまり、筋肉をつけながら脂肪も減らすという、理想的なボディメイクが可能なのです。
主な施術部位と期待できる効果
- 腹部: 腹直筋や腹斜筋を鍛え、男性ではシックスパック、女性では縦線の入った美しいくびれ(アブクラックス)の形成を目指します。
- 臀部(ヒップ): お尻の筋肉(大臀筋など)を鍛え、たるんだヒップを強力にリフトアップさせます。丸みのある、上向きのヒップラインをデザインします。
- 二の腕・太もも・ふくらはぎ: たるみを引き締め、メリハリのある健康的な腕や脚のラインを作ります。
医療用EMSのメリット
- 寝ているだけでOK: 施術中はベッドに横になっているだけで、辛いトレーニングは一切不要です。
- ダウンタイムがない: 筋肉痛のような感覚が残ることはありますが、ダウンタイムは基本的にありません。施術後すぐに日常生活に戻れます。
- 部分的な筋肉のデザイン: 自分では鍛えにくい特定の筋肉だけを狙って強化することが可能です。
6. これらの施術を組み合わせるメリット
ボディコントアリングの真髄は、これまで解説してきた「脂肪吸引」「脂肪注入」「皮膚切除」「筋力増強」といった複数の施術を、戦略的に組み合わせることにあります。単独の施術では決して到達できない、相乗効果による劇的で調和の取れたボディラインの変革。それこそが、施術を組み合わせる最大のメリットです。メリット①:全身のトータルバランスを最適化できる
人間の体は、パーツの集合体ではありません。例えば、お腹だけを細くしても、ヒップが平坦なままでは美しいS字カーブは生まれません。- 具体例:
- お腹の脂肪吸引 + ヒップへの脂肪注入: くびれを強調しながら、その脂肪でヒップトップに高さを出すことで、理想的なウエスト・ヒップ比が生まれます。
- 二の腕の脂肪吸引 + アームリフト: 脂肪を除去した上でたるんだ皮膚を引き締めることで、細く、かつハリのある若々しい腕を実現できます。
- 脂肪吸引 + 医療用EMS: 不要な脂肪を取り除いてから筋肉を増強させることで、筋肉の陰影がよりシャープに現れ、アスリートのような引き締まった体をデザインできます。
メリット②:一度のダウンタイムで複数の悩みを解決できる
それぞれの施術にはダウンタイムが伴います。もし、これらの施術を一つひとつ個別に行うと、その都度、仕事を休んだり、生活を制限したりする必要があり、心身ともに大きな負担となります。- 同時施術の効率性: 多くの施術は、同じ麻酔下で同時に行うことが可能です。例えば、脂肪吸引と脂肪注入、皮膚切除は一度の手術で完了できます。これにより、最も負担の大きいダウンタイムを一度で済ませることができるのです。これは、時間的にも経済的にも、そして精神的にも非常に大きなメリットと言えます。
メリット③:より自然で完成度の高い仕上がりに
- 自然な質感とボリューム: 例えば、シリコンバッグ豊胸に脂肪注入を組み合わせる「ハイブリッド豊胸」では、バッグで土台のボリュームを作り、その周りに自身の脂肪を注入することで、バッグの輪郭をカモフラージュし、より自然な柔らかさと見た目を実現できます。
- 皮膚のたるみを予防・改善: 脂肪吸引と同時に、レーザーや高周波による皮膚の引き締め治療を併用することで、脂肪がなくなった後の皮膚のたるみを予防し、より滑らかな仕上がりを目指せます。

7. ボディコントアリングのダウンタイムはどのくらい?
ボディコントアリングは、複数の施術を組み合わせることが多いため、ダウンタイムの期間や程度は、どの施術を、どのくらいの範囲で行ったかによって大きく異なります。特に、脂肪吸引や皮膚切除といった外科的な手術を伴う場合は、相応の回復期間が必要です。ここでは、主要な施術のダウンタイムの目安を解説します。【外科手術】脂肪吸引・皮膚切-除(タミータック等)
最もダウンタイムが長く、症状が強く出るのがこれらの外科手術です。- 痛みのピーク(術後1〜3日): 強い筋肉痛のような痛みや、ズキズキとした痛みが出ます。処方される鎮痛剤でコントロールしますが、安静が必要です。
- 腫れ・内出血のピーク(術後1〜2週間): 施術部位はパンパンに腫れ上がり、広範囲に内出血が広がります。この時期を乗り越えると、徐々に症状は落ち着いていきます。
- 拘縮(こうしゅく)(術後3週間〜6ヶ月): 腫れが引いた後、施術部位の皮膚が硬くなり、つっぱったり、表面がボコボコしたりする「拘縮」という症状が現れます。これは傷が治る過程での正常な反応であり、マッサージやストレッチで徐々に改善し、半年ほどで滑らかな状態に落ち着きます。
- 仕事復帰の目安:
- デスクワーク: 5日〜1週間程度の休みを取る方が多いです。
- 身体を動かす仕事: 2週間〜1ヶ月程度の休みが必要になる場合があります。
- 社会復帰(見た目の完成)の目安: 大きな腫れや内出血が引き、ある程度自然な見た目になるまでには1〜3ヶ月。完全に仕上がるまでには約半年かかると考えておくのが良いでしょう。
【脂肪注入】
脂肪を吸引した部位は上記の「脂肪吸引」と同様のダウンタイムが生じます。脂肪を注入した部位(胸やヒップ)のダウンタイムは比較的軽度です。- 症状: 腫れ、内出血、筋肉痛のような痛みが1〜2週間程度続きます。
- 注意点: 注入した脂肪の生着を促すため、術後しばらくはうつ伏せで寝たり、施術部位を圧迫したりしないように注意が必要です。
【医療マシン】医療用EMS・脂肪冷却
メスを使わないこれらの治療は、ダウンタイムがほとんどないのが特徴です。- 医療用EMS(エムスカルプトなど): 施術後に筋肉痛のような感覚が残ることがありますが、日常生活への支障は全くありません。施術後すぐに活動できます。
- 脂肪冷却: 施術直後に赤みや軽い内出血、感覚の鈍さが出ることがありますが、数時間から数日で治まります。こちらもダウンタイムはほぼゼロと言えます。
8. 施術後のアフターケアと体型維持の秘訣
ボディコントアリングによって理想の体型を手に入れたとしても、その美しさを長く維持するためには、術後の適切なアフターケアと、その後の生活習慣が極めて重要になります。施術の効果を最大限に引き出し、リバウンドを防ぐための秘訣を知っておきましょう。術後ダウンタイム中の重要なアフターケア
特に脂肪吸引や皮膚切除などの外科手術後は、回復を早め、より美しい仕上がりを実現するために、以下のアフターケアが推奨されます。- 圧迫固定: 術後は、専用のガードルやサポーターで施術部位を圧迫固定します。これは、腫れや内出血を最小限に抑え、皮膚をしっかりと引き締め、滑らかな仕上がりを促すために非常に重要です。医師の指示通りの期間(通常1〜3ヶ月)、自己判断で外さずに着用を続けましょう。
- インディバなどによる高周波温熱療法: インディバは、高周波エネルギーを用いて体内の深部を温める医療機器です。術後のケアとして行うことで、血行やリンパの流れを促進し、腫れや内出血、痛みの早期回復を助けます。また、拘縮(こうしゅく)で硬くなった組織を柔らかくし、回復を早める効果も期待できます。
- マッサージ・ストレッチ: 拘縮が始まった時期(術後3週間頃〜)から、医師の指導のもとで適切なマッサージやストレッチを行うことで、皮膚の硬さを和らげ、滑らかな状態への回復をサポートします。
体型を長期的に維持するための秘訣
ボディコントアリングはリバウンドしにくい施術ですが、油断は禁物です。美しい体型を維持するためには、以下の点を心掛けましょう。- ① バランスの取れた食事: 脂肪細胞の数は減っても、残った脂肪細胞が大きくなったり、内臓脂肪が増えたりすれば、再び体型は崩れてしまいます。極端なカロリー制限ではなく、タンパク質を中心に、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取する食生活を習慣化させましょう。施術をきっかけに、専門家(医師や管理栄養士)から学んだ食事の知識を、一生の財産として活かすことが大切です。
- ② 適度な運動の習慣化: 体型維持だけでなく、健康のためにも運動は不可欠です。ウォーキングなどの有酸素運動で脂肪燃焼を促し、筋力トレーニングで基礎代謝を高く保つことを意識しましょう。特に、医療用EMSで筋肉をつけた場合は、その状態を維持するためのトレーニングを続けることが理想です。
- ③ 定期的な自己モニタリング: 毎日体重を測る習慣をつけ、少しでも増加傾向が見られたら、食事内容や運動量を見直すなど、早期に対応することがリバウンドを防ぐ鍵です。
9. ボディコントアリングのリスクと副作用
ボディコントアリングは、正しく行われれば非常に満足度の高い治療ですが、医療行為である以上、リスクや副作用が全くないわけではありません。特に、脂肪吸引や皮膚切除などの外科手術を伴う場合は、起こりうる合併症について事前に十分に理解し、納得した上で施術に臨むことが不可欠です。脂肪吸引・脂肪注入に伴う主なリスク
- 凹凸・左右差: 脂肪の取りすぎや、吸引技術のムラによって、皮膚の表面がデコボコになったり、左右で形の違いが生じたりするリスクがあります。これは、医師の技術力と経験に大きく左右される部分です。
- 皮膚のたるみ・色素沈着: 脂肪を吸引した後に、皮膚が収縮しきれずにたるんでしまうことがあります。また、術後の内出血が吸収される過程で、皮膚に茶色っぽい色素沈着がしばらく残ることがあります。
- しこり(脂肪注入): 注入した脂肪がうまく生着せず、壊死して硬いしこり(オイルシストや石灰化)になってしまうリスクがあります。不純物の多い脂肪を注入したり、一度に多量を注入したりすると、このリスクが高まります。
- 感染・血腫: 頻度は低いですが、傷口から細菌が入り感染を起こしたり、術後の出血が止まらずに血の塊(血腫)ができてしまったりする可能性があります。徹底した衛生管理と、丁寧な止血操作が予防に繋がります。
皮膚切除(タミータック等)に伴う主なリスク
- 目立つ傷跡: 皮膚切除術には、必ず長い傷跡が残ります。体質によっては、傷跡が赤く盛り上がってしまう「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」になるリスクもあります。
- 皮膚壊死・創傷治癒遅延: 広範囲の皮膚を剥離するため、血流が悪くなり、皮膚の一部が壊死してしまったり、傷の治りが遅れたりするリスクがあります。特に、喫煙者や糖尿病などの持病がある方は、このリスクが高まります。
- 感覚の鈍化: 皮膚を切開する際に、知覚神経が切断されるため、施術部位の感覚がしばらく鈍くなることがあります。多くは時間とともに回復しますが、一部が永久に残る可能性もあります。
医療マシンに伴う主なリスク
- 火傷(やけど): HIFUや高周波治療などで、出力設定を誤ったり、皮膚の状態が適切でなかったりした場合に、火傷を起こすリスクがあります。
- 逆説的過形成(脂肪冷却): 極めて稀ですが、脂肪冷却を行った部位の脂肪が、減るどころか逆に硬く増えてしまう「逆説的過形成」という現象が報告されています。
10. 理想の体を手に入れるための治療計画
ボディコントアリングは、単一の施術を申し込むのとはわけが違います。それは、数ヶ月、場合によっては1年以上にわたる、あなたと医師との共同プロジェクトです。このプロジェクトを成功に導き、後悔のない理想の体を手に入れるためには、最初の「治療計画」の策定が何よりも重要になります。ステップ①:自己分析とゴールの明確化
まずは、あなた自身がどうなりたいのかを明確にすることから始まります。- 現状の把握: 鏡の前で、自分の体のどこが好きで、どこが嫌いなのか。どの部分を、どのように変えたいのかを具体的にリストアップしてみましょう。「痩せたい」という漠然としたものではなく、「このお腹の浮き輪肉をなくして、ヒップに丸みを出したい」というように、できるだけ具体的に言語化します。
- 理想のイメージの収集: 憧れのモデルやインフルエンサーの写真など、自分の理想とするボディラインのイメージを集めておきましょう。これは、後のカウンセリングで医師とイメージを共有するための重要な資料となります。
- ライフスタイルと予算の考慮: どれくらいのダウンタイムなら許容できるか、予算はどのくらいか、といった現実的な制約も整理しておきます。
ステップ②:信頼できる医師とのカウンセリング
あなたの理想を現実の形にするためには、それを実現できる技術と美的センスを持った医師との出会いが不可欠です。- 専門家による客観的な評価: カウンセリングでは、医師があなたの骨格、脂肪のつき方、皮膚のたるみ具合、筋肉量などをプロの視点で診察します。その上で、あなたの希望が医学的に実現可能か、どの施術の組み合わせが最適かを判断します。
- 治療計画の共同作成: 優れた医師は、一方的に治療を押し付けることはありません。あなたの希望と、医師の専門的な見解をすり合わせながら、「どの施術を、どの順番で、どのくらいの期間をかけて行うか」という、あなただけのオーダーメイドの治療計画を一緒に作成していきます。この時、それぞれの施術のメリット・デメリット、リスク、ダウンタイム、総額費用について、詳細な説明があるはずです。
- 3Dシミュレーションの活用: 言葉だけでは伝わりにくい術後のイメージを、3Dシミュレーションなどを活用して視覚的に共有することで、より具体的でリアルなゴール設定が可能になります。