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COLUMN医師監修コラム

タミータックの傷跡はどのくらい?種類、位置、術後ケアまで完全ガイド

2025.09.10

妊娠・出産や大幅なダイエットによってたるんでしまったお腹の皮膚を、劇的に引き締める「タミータック(腹壁形成術)」。その効果は絶大ですが、この手術を受ける上で、誰もが直面し、受け入れる必要のある現実が「傷跡」の存在です。タミータックの傷跡は、決して小さなものではありません。この記事では、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)に基づき、タミータックで残る傷跡の種類、位置、そして時間と共にどのように変化していくのかを、一切の誇張なく、ありのままに解説します。さらに、その傷跡をいかに美しく治すかという、術後ケアの極意までを網羅。傷跡という代償を正しく理解し、それでもなお余りあるメリットのために、心から納得して手術に臨むための完全ガイドです。

1. タミータックで傷跡が残る理由

まず、なぜタミータックには必ず傷跡が残るのか、その根本的な理由を理解することが重要です。答えは、タミータックの手術目的そのものにあります。 タミータックは、たるんで余ってしまった皮膚(余剰皮膚)と、その下にある脂肪組織を物理的に切除する手術です。例えるなら、たるんだ布の余分な部分を切り取り、残った布をピンと張り詰めて縫い合わせる作業と同じです。広範囲のたるみを取り除くためには、必然的に広範囲の皮膚を切除する必要があり、その切除したラインに沿って、長い切開線が必要となるのです。 これは、形成外科における「Dog Ear(犬の耳)変形」という概念で説明できます。皮膚を切り取って縫い合わせる際、切開線が短いと、その両端に犬の耳のような皮膚の盛り上がりができてしまいます。この盛り上がりを防ぎ、滑らかで平坦な仕上がりにするためには、切開線をある程度の長さまで延長する必要があるのです。 つまり、タミータックの長い傷跡は、手術が失敗した結果ではなく、たるみを根本から解消し、美しい腹部を再建するために、医学的に必要不可欠なものなのです。
  • 脂肪吸引との違い: 脂肪吸引は数ミリの小さな穴から脂肪を吸い出すため傷跡は小さいですが、皮膚のたるみは改善できません。
  • タミータックの役割: たるんだ皮膚そのものを「切除」するため、効果は絶大ですが、その代償として切開線の傷跡が残ります。
この「たるみの解消度と傷跡の長さは比例する」という原則を理解することが、タミータックという手術の本質を受け入れるための第一歩となります。医師の技術は、この必要不可欠な傷跡を、いかに目立たない位置に、いかに美しく治すかという点に注がれます。

2. フル・タミータックの傷跡の位置と長さ

おへそ周りを含め、腹部全体の広範囲なたるみを改善するのが「フル・タミータック」です。特に、産後の女性や、大幅なダイエット後に適応となることが多く、最もダイナミックな変化が期待できる術式ですが、それに伴い傷跡も最も長くなります。 【傷跡の位置】 フル・タミータックの主な傷跡は、下腹部を横断する一本の長い線です。
  • デザイン: 傷跡の位置は、患者様の骨格や希望する下着・水着のラインに合わせて、慎重にデザインされます。一般的には、恥骨のすぐ上のラインから、左右の腰骨(上前腸骨棘)に向かって、緩やかなカーブを描くように設定されます。
  • 目的: このように下向きにカーブさせることで、ローライズのショーツやビキニを着用した際に、傷跡が完全に隠れるように計算されています。帝王切開の経験がある場合は、その傷跡を含めて切除することも可能です。
【傷跡の長さ】 傷跡の長さは、切除する皮膚の量、つまり、たるみの程度によって決まります。
  • 目安: 一般的には、25cm〜40cm以上になることが多く、患者様の体格によっては、さらに長くなることもあります。
  •  circumferential Tummy Tuck(体幹周回リフト): たるみが背中側にまで及んでいる場合は、切開線を腰から背中まで延長し、身体を一周するように皮膚を切除することもあります。この場合の傷跡は、さらに長くなります。
【傷跡への心構え】 フル・タミータックの傷跡は、決して短いものではありません。温泉やパートナーとの親密な時間など、裸になる状況では、必ず目に入ります。しかし、この一本の傷跡と引き換えに、妊娠前のようなくびれのある平らなお腹、たるみのない引き締まった皮膚を手に入れることができるのです。 カウンセリングでは、実際にどの位置に、どのくらいの長さの傷跡ができるのかを、身体に直接マーキングしてもらい、普段着用する下着を持参して、本当に隠れるのかどうかを、ご自身の目で確認することが極めて重要です。「こんなはずではなかった」という後悔を避けるためにも、傷跡の現実を直視し、十分に納得した上で手術に臨む必要があります。

3. ミニ・タミータックの傷跡

「フル・タミータックほどの広範囲なたるみはないけれど、おへそより下の、下腹部だけのたるみが気になる…」。そんな方に適応となるのが「ミニ・タミータック」です。切除する範囲が限定的であるため、フル・タミータックに比べて、傷跡が短く、身体への負担も少ないのが特徴です。 【傷跡の位置と長さ】
  • 位置: フル・タミータックと同様に、恥骨のすぐ上の下腹部を水平に切開します。
  • 長さ: 切除する皮膚の量が少ないため、傷跡の長さは帝王切開の傷跡と同じくらいか、それより少し長いくらいで済みます。目安としては、10cm〜20cm程度です。
  • おへその傷: ミニ・タミータックの最大の特徴は、おへその位置を移動させる必要がないため、おへそ周りには一切傷跡ができないことです。
【ミニ・タミータックが適している人】
  • たるみがおへそより下の下腹部に限定されている方。
  • 腹直筋離開(腹筋のゆるみ)が、下腹部中心の軽度なものである方。
  • 比較的痩せ型で、皮膚のたるみも軽度な方。
【ミニ・タミータックの限界と注意点】
  • 適応が限られる: たるみがおへそ周りや上腹部にまで及んでいる場合、ミニ・タミータックでは十分な改善効果が得られません。無理に皮膚を引き下げようとすると、おへその形が下に引っ張られて、縦長の不自然な形になってしまうリスクがあります。
  • 腹直筋離開へのアプローチ: おへそより上の腹直筋離開を修復することは困難です。
ミニ・タミータックは、傷跡が短いという大きなメリットがありますが、その適応は非常に限られています。自分のたるみが本当にミニ・タミータックで改善できるレベルなのか、それともフル・タミータックが必要なのかを、専門医に正しく診断してもらうことが重要です。傷跡の短さだけで安易にミニ・タミータックを選択すると、「効果が不十分だった」という不満に繋がる可能性があります。

4. おへその傷跡について

フル・タミータックにおいて、下腹部の長い傷跡とともにもう一つ形成されるのが「おへその傷跡」です。お腹の印象を左右する中心的なパーツであるおへそが、どのように作られ、傷跡はどうなるのかを理解しておくことは、仕上がりの満足度に大きく関わります。 【なぜ、おへそに傷跡ができるのか?】 フル・タミータックでは、おへそから恥骨までのたるんだ皮膚を広範囲に切除し、みぞおちの方から残った皮膚をグッと引き下げてきます。この時、もともとあったおへそは、身体の土台(腹筋)にくっついたまま、その場に残されます。 そして、引き下げてきた皮膚の、ちょうどおへその真上に来る部分に、新しく穴を開け、そこから元のおへそを顔を出させて、周囲の皮膚と縫合するのです。 このプロセスを「臍(へそ)形成」または「臍移植」と呼びます。 つまり、フル・タミータック後のおへそは、位置は変わりませんが、周りの皮膚は新しく引き下げられてきたものであり、その縫合部に傷跡ができるのです。 【美しいおへそを創る技術】 おへその傷跡は、お腹の中心にあるため、その仕上がりは非常に重要です。経験豊富な医師は、傷跡が目立たず、かつ自然で美しい形のおへそを創るために、様々な工夫を凝らしています。
  • デザイン: 一般的に、縦長で、奥に引き込まれたような、深さのあるおへそが美しいとされています。横に広がった形や、浅くて平坦な形は、不自然に見えがちです。
  • 切開と縫合: 新しく開ける皮膚の穴の形や大きさを精密にデザインし、傷跡がおへその内側の溝やくぼみに隠れるように、非常に細かく丁寧に縫合します。
  • 内部処理: おへその根本を腹筋にしっかりと固定することで、自然な深みと引き込みを創り出します。
【傷跡の経過とリスク】 おへそ周りの傷跡も、下腹部の傷跡と同様の経過をたどります。術後しばらくは赤みや硬さが出ますが、半年〜1年をかけて徐々に成熟し、おへその内側の影に紛れてほとんど分からなくなります。 しかし、医師の技術力や個人の体質によっては、
  • 傷跡が盛り上がってしまう。
  • おへその形がいびつになったり、浅くなったりする。
  • 穴が小さくなりすぎてしまう(狭窄)。 といったリスクもゼロではありません。
カウンセリングでは、下腹部の傷跡だけでなく、おへそがどのような形になるのか、その症例写真などをよく確認し、医師の美的センスや技術力を見極めることが大切です。

5. 傷跡をきれいに治すための術後ケア

タミータックの傷跡が最終的にどの程度目立たなくなるかは、執刀医の技術が50%、そして術後の患者様自身のセルフケアが50%を占めると言っても過言ではありません。手術で完璧に縫合された傷も、その後のケアを怠れば、太く、目立つ傷跡になってしまう可能性があります。傷跡を最大限きれいに治すための、術後の正しいケア方法を解説します。 【術後ケアの3大原則】 傷跡をきれいに治すためには、「①安静(張力・摩擦からの保護)」「②保湿」「③紫外線対策」の3つの原則を守ることが、科学的に最も重要とされています。
  1. 安静(張力・摩擦からの保護)
  • 最も重要なケアです。 傷跡が最も太くなる原因は、傷口にかかる張力(ちょうりょく)、つまり皮膚が引っ張られる力です。術後、身体を動かすことで、縫合した傷口は常に引っ張られようとします。この力がかかり続けると、身体は傷が開かないように、コラーゲン線維を過剰に作り出し、結果として傷跡がミミズ腫れのように盛り上がったり(肥厚性瘢痕)、幅が広がったりします。
  • 具体的なケア:
    • テーピング: 術後、抜糸が終わった後から、最低でも3ヶ月〜半年間、傷跡に専用のサージカルテープ(医療用紙テープ)を貼り続けます。このテープが、皮膚の伸展を物理的に抑え、傷口にかかる張力を軽減してくれます。
    • 動作の制限: 術後1〜3ヶ月は、身体を大きく伸ばしたり、ひねったり、重いものを持ったりする、傷口に張力がかかる動作を避けることが重要です。
  1. 保湿
  • 理由: 傷口が乾燥すると、治癒が遅れたり、痒みが出やすくなったりします。痒くて掻いてしまうと、それが刺激となって傷跡が汚くなる原因になります。傷跡を常に潤った状態(湿潤環境)に保つことが、スムーズな治癒を促します。
  • 具体的なケア: テーピングの上から、あるいはテープを貼り替える際に、医師から処方された保湿剤や、低刺激のボディクリームなどで優しく保湿します。
  1. 紫外線対策
  • 理由: 治りかけのデリケートな傷跡は、紫外線に対して非常に無防備です。紫外線を浴びると、炎症後色素沈着を起こし、傷跡が茶色くシミのようになって、長期間目立ってしまいます。
  • 具体的なケア: 傷跡は下着で隠れる位置ですが、水着などを着る機会がある場合は、傷跡部分にもSPF値の高い日焼け止めを塗るか、UVカット機能のあるテープを貼るなどして、徹底的に紫外線をブロックしましょう。
これらの地道なケアを、根気強く続けることができるかどうかが、1年後の傷跡の美しさを大きく左右します。

6. 保護テープや内服薬、外用薬の効果

前章で述べた術後ケアを、より効果的にサポートするために、クリニックでは様々な医療用のアイテムが処方、あるいは推奨されます。それぞれのアイテムがどのような役割を果たし、傷跡の治癒にどう貢献するのかを、具体的に見ていきましょう。 【保護テープ(サージカルテープ)】
  • 目的: 傷跡にかかる張力の軽減。これが最も重要な役割です。
  • 種類: 茶色い紙製のテープ(マイクロポアなど)が一般的です。皮膚への刺激が少なく、通気性があり、長期間の貼付に適しています。
  • 使用方法: 傷跡に対して垂直に、あるいは傷跡を完全に覆うように、少し皮膚を寄せた状態で貼付します。数日に一度、お風呂の際に優しく剥がして貼り替えます。最低3ヶ月の継続が推奨されます。
【シリコンジェルシート】
  • 目的: 保湿と圧迫による、傷跡の盛り上がり(肥厚性瘢痕)の予防・改善。
  • メカニズム: シリコンシートで傷跡を密閉することで、皮膚からの水分蒸散を防ぎ、傷を湿潤環境に保ちます。また、適度な圧力がかかることで、コラーゲンの過剰な増生を抑制し、傷跡の赤みや盛り上がりを平坦にする効果が期待できます。
  • 使用方法: テープ固定の期間が終わった後(術後3〜6ヶ月頃)から、あるいはテープと併用して使用することが多いです。洗って繰り返し使える製品もあります。
【外用薬(塗り薬)】
  • ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど):
    • 効果: 高い保湿効果と、血行促進作用抗炎症作用があります。傷跡の乾燥を防ぎ、血流を改善することで、治癒をサポートし、色素沈着の改善も助けます。
  • ステロイド軟膏:
    • 効果: 傷跡の赤みや盛り上がりが強い場合(肥厚性瘢痕の兆候)に、その過剰な炎症を抑える目的で、短期間使用されることがあります。必ず医師の指導のもとで使用します。
【内服薬】
  • トラニラスト(商品名:リザベン):
    • 効果: もともとはアレルギーの薬ですが、傷跡が硬く盛り上がる原因となるコラーゲンの過剰な産生を抑制する作用があることが分かっています。ケロイドや肥厚性瘢痕の治療・予防薬として、保険適用もあります。
    • 対象: ケロイド体質の方や、傷跡が赤く盛り上がりやすいと医師が判断した場合に、術後早期から数ヶ月間、予防的に内服することがあります。
これらのアイテムは、それぞれ異なるメカニズムで傷跡の治癒をサポートします。どのケアが最適かは、あなたの肌質や傷の治り具合によって異なります。自己判断で市販の傷跡ケア製品を使うのではなく、まずは手術を受けたクリニックで推奨される方法を、医師の指示通りに、真面目に実践することが、最も確実で安全な道です。

7. 傷跡が目立たなくなるまでの期間

タミータックの傷跡は、手術が終わった瞬間から治癒のプロセスを開始し、約1年〜2年という長い時間をかけて、ゆっくりと成熟していきます。この長い経過を事前に理解しておくことは、ダウンタイム中の不安を和らげ、焦らずに回復を待つために非常に重要です。 【傷跡の成熟プロセス(タイムライン)】
  • 術後〜1ヶ月:炎症期
    • 状態: 傷は一本の線として閉じていますが、赤みが最も強く、ミミズ腫れのように少し盛り上がっている時期です。まだ生々しく、痛みや痒みを伴うこともあります。
    • 解説: 身体が傷を治そうと、毛細血管を増やして多くの細胞を集めているため、赤く見えるのです。これは正常な反応です。
  • 術後1ヶ月〜3ヶ月:増殖期
    • 状態: 傷の内部で、コラーゲン線維が活発に作られ、傷の強度が増していきます。傷跡は赤紫色〜茶色っぽい色になり、硬さもピークを迎えます。痒みも出やすい時期です。
    • 解説: この時期が、見た目上、最も傷跡が目立つ期間かもしれません。多くの方が「本当にきれいになるの?」と不安に感じる時期ですが、これも治癒に必要なプロセスです。術後ケア(特にテーピング)が最も重要になるのもこの時期です。
  • 術後3ヶ月〜6ヶ月:成熟期(前期)
    • 状態: 過剰に作られていたコラーゲン線維の再構築(リモデリング)が始まります。傷跡の赤みが徐々に薄ピンク色に変化し、硬さも少しずつ取れて、平坦になっていきます。
    • 解説: この頃から、傷跡が「治ってきている」という実感を持てるようになります。
  • 術後6ヶ月〜1年以降:成熟期(後期)
    • 状態: 傷跡の色はさらに薄くなり、肌色に近い白っぽい線(白色瘢痕)へと変化していきます。硬さもほとんどなくなり、周囲の皮膚と同じくらいの柔らかさになります。
    • 解説: この状態が、傷跡の最終的な完成形です。完全に消えるわけではありませんが、下着のラインに隠れた、目立ちにくい一本の線として落ち着きます。
【重要な心構え】
  • 焦らないこと: 傷の治りには、最低でも1年という時間が必要です。特に術後3ヶ月までの最も目立つ時期に、「失敗したのではないか」と焦ったり、落ち込んだりする必要はありません。
  • 個人差があること: 傷の治るスピードや、最終的な傷跡の色・幅には、大きな個人差があります。他人と比較せず、ご自身の身体のペースを信じて、ケアを続けることが大切です。
長い道のりですが、時間が経つほどに傷跡は必ず目立たなくなっていきます。そのことを信じて、日々のケアを地道に続けることが、1年後の自分の満足に繋がるのです。

8. 体質(ケロイド等)と傷跡の関係

同じ手術を受け、同じように術後ケアを行っても、傷跡の最終的な仕上がりには個人差が生じます。その大きな要因となるのが、生まれ持った「体質」、特に傷跡が残りやすいかどうかという体質です。タミータックのような大きな傷を作る手術を受ける前には、ご自身の体質について理解しておくことが重要です。 【正常な傷跡の治り方】 通常、傷は時間とともに赤みや盛り上がりが引き、最終的には平坦で白っぽい線(成熟瘢痕)になります。 【注意が必要な傷跡のタイプ】
  • 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん):
    • 状態: 傷跡が、赤くミミズ腫れのように盛り上がった状態が、半年〜1年以上経っても続く状態です。痒みや痛みを伴うこともあります。
    • 特徴: 重要なのは、盛り上がりが元の傷の範囲を超えて広がることはないという点です。
    • 原因: 傷口にかかる強い張力や、感染、体質などが原因で、コラーゲンが過剰に産生されてしまった状態です。タミータックの傷のように、張力がかかりやすい部位は、肥厚性瘢痕のリスクが比較的高くなります。
    • 治療: テーピングやシリコンジェルシートによる圧迫、ステロイド外用薬・注射、内服薬(リザベン)などで改善が期待できます。
  • ケロイド:
    • 状態: 傷跡が、肥厚性瘢痕よりもさらに強く赤く盛り上がり、元の傷の範囲を大きく超えて、周囲の正常な皮膚にまで染み出すように広がっていくのが特徴です。強い痛みや痒み、ひきつれ感を伴います。
    • 特徴: まさに「傷が暴走している」状態です。
    • 原因: 明確な原因は不明ですが、遺伝的な素因(ケロイド体質)が強く関与していると考えられています。
    • 治療: 極めて治りにくく、ステロイド注射や内服、放射線治療など、専門的な治療が必要になります。安易に切除すると、さらに大きなケロイドとして再発するリスクがあります。
【手術を受ける前の確認事項】
  • 既往歴の確認: これまでに受けた手術の傷(帝王切開など)や、怪我の跡、ピアスホールなどが、ミミズ腫れのように盛り上がった経験はありませんか?
  • 家族歴の確認: ご家族に、ケロイド体質の方はいらっしゃいませんか?
もし、これらのいずれかに当てはまる場合は、ケロイドまたは肥厚性瘢痕のリスクが高い可能性があります。カウンセリングの際に、必ずその事実を医師に申告してください。信頼できる医師であれば、リスクを正直に説明し、予防的な内服薬の処方や、より慎重な術後管理計画を立ててくれるはずです。 体質だからと諦める必要はありません。リスクを事前に把握し、適切な対策を講じることで、傷跡を最小限に抑えることは十分に可能です。

9. 傷跡を隠すファッションの工夫

タミータックの傷跡は、時間とともに目立たなくなっていくとはいえ、完全に消えるわけではありません。しかし、傷跡は計算された位置に作られるため、日常生活において、ファッションの工夫次第で、他人の目に触れる機会をほとんどなくすことが可能です。ここでは、傷跡を気にせずに、おしゃれを楽しむための具体的なポイントを紹介します。 【下着・水着選びのポイント】
  • 基本は「傷跡が隠れること」: 手術を受ける前に、普段自分がよく着用する下着や、今後着たいと思う水着のデザインを医師に見せ、そのラインの内側に傷跡が収まるようにデザインしてもらうことが最も重要です。
  • ショーツの選び方:
    • 傷跡は、一般的なビキニラインよりも少し高めに設定されることが多いです。そのため、ほとんどのショーツで隠すことが可能です。
    • 術後しばらくは、傷跡に優しい綿素材で、締め付けの少ない、少し股上が深めのタイプが快適です。
  • 水着の選び方:
    • 最近のトレンドであるハイウエストタイプのビキニや、ワンピースタイプの水着であれば、全く問題なく着用できます。
    • ローライズのビキニでも、傷跡が隠れるようにデザインされていれば着用可能です。試着の際に、様々な動きをしても傷跡が見えないかを確認すると安心です。
【洋服選びのポイント】 タミータックを受けた後は、ウエストラインが劇的に変化するため、むしろこれまで着られなかった洋服が楽しめるようになるという、ポジティブな側面が非常に大きいです。
  • ボディラインを活かすファッション: タイトなワンピースや、ウエストをマークするベルト、ハイウエストのパンツやスカートなど、美しいくびれを強調するファッションが楽しめるようになります。
  • ローライズジーンズ: 傷跡は恥骨の上あたりにできるため、ローライズのジーンズを履いても、通常は傷跡が見えることはありません。
  • クロップド丈トップス(ショート丈トップス): おへそが出るような短い丈のトップスも、自信を持って着こなせるようになります。おへその傷跡は、おへその内側に隠れるように作られているため、ほとんど目立ちません。
【温泉・公衆浴場での工夫】 傷跡が完全に成熟するまでは、人目が気になることもあるかもしれません。
  • タオルで隠す: 小さめのタオルで、さりげなく前を隠すようにすれば、他人の視線を気にする必要はありません。
  • 傷跡用のコンシーラー: 耐水性の高い、傷跡用のコンシーラーやファンデーションテープなどを使用するのも一つの方法です。
タミータックの傷跡は、決してあなたのファッションの自由を奪うものではありません。むしろ、美しいボディラインを手に入れることで、ファッションの可能性は大きく広がるのです。傷跡を「隠す」というネガティブな発想ではなく、自信を持って「魅せる」ファッションを楽しむ、という前向きな気持ちが大切です。

10. 傷跡を理解した上でタミータックを受ける

タミータックは、たるみきったお腹の皮膚を劇的に引き締め、失われたくびれと自信を取り戻すことができる、非常にパワフルな手術です。しかし、その素晴らしい結果と引き換えに、あなたの身体には、生涯消えることのない一本の長い傷跡が刻まれることになります。 この記事を通じて、その傷跡がなぜ必要なのか、どこに、どのくらいの長さででき、どのような経過をたどるのか、そしてそれをいかに美しくケアしていくのかを、詳しく解説してきました。 最終的に、タミータックを受けるという決断は、この傷跡という「代償」を、あなた自身が心から受け入れ、納得できるかどうかにかかっています。
  • メリットとデメリットの天秤: 「長い傷跡が残ったとしても、この醜いたるみから解放される方が、私にとっては遥かに価値がある」。そう強く思えるかどうかが、一つの分水嶺です。
  • 傷跡への意味づけ: タミータックの傷跡は、単なる手術の跡ではありません。それは、あなたが長年のコンプレックスと向き合い、それを乗り越えるために勇気ある決断をした「勲章」であり、新しい人生の始まりを刻んだ「証」でもあります。そのように、傷跡にポジティブな意味づけをすることができるかどうかも、術後の精神的な満足度に大きく影響します。
タミータックは、ただ身体の形を変えるだけの手術ではありません。それは、あなたの人生観や価値観をも問い直す、非常に深い経験となるでしょう。 後悔しないための唯一の道は、徹底的に情報を集め、リスクと限界を直視し、信頼できる医師と対話し、そして最終的にはあなた自身が、すべての結果を受け入れる覚悟を持つことです。その覚悟が固まった時、タミータックの傷跡は、もはやコンプレックスではなく、あなたの自信に満ちた新しい身体の一部として、輝き始めるはずです。

まとめ

タミータック手術には、たるんだ皮膚を切除するために、下腹部を横断する長い傷跡が必ず残ります。フル・タミータックでは腰骨の間に、ミニ・タミータックでは帝王切開程度の長さに、そしてフルではおへそ周りにも傷跡ができます。この傷跡は、術後の丁寧なケア(テーピング、保湿、紫外線対策)と、約1年という長い時間をかけて、徐々に白く目立たない線へと成熟していきます。傷跡という大きな代償を正しく理解し、それ以上にたるみを解消するメリットが大きいと心から納得することが、後悔のない選択のための最も重要な鍵となります。  

美容医療は 「自己肯定感を高めるための選択肢のひとつ」 という信念の もと、一人ひとりの美しさと真摯に向き合う診療スタイルを貫いています。現在は、アジアの美容外科医との技術交流や教育にも力を入れ、国際的なネットワークづくりにも取り組んでいます。

  • <所属学会>

  • 日本美容外科学会JSAS

  • 日本美容外科学会JSASPS

  • 日本形成外科学会

  • 乳房オンコプラスティック

  • <資格>

  • 日本外科学会専門医

  • コンデンスリッチファット療法認定医

  • Total Definer by Alfredo Hoyos 認定医

  • VASER Lipo 認定医

  • RIBXCAR 認定医

【監修医師】

Casa de GRACIA GINZA / GRACIA Clinic 理事長 美容外科医・医学博士 樋口 隆男 Takao Higuchi

18年間にわたり呼吸器外科医として臨床に携わり、 オーストラリアの肺移植チームでの勤務経験も持つ。外科医としての豊富な経験を土台に、10年前に美容外科へ転向。現在は東京・銀座と福岡に美容クリニックを展開し、これまでに10,000例以上の脂肪吸引、4,000例を超える豊胸手術を手がけている。特にベイザー脂肪吸引、ハイブリッド豊胸、脂肪注入豊尻、肋骨リモデリング(RIBXCAR)、タミータック、乳房吊り上げなどのボディデザインを得意とし、自然で美しいシルエットづくりに国内外から定評がある。

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