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COLUMN医師監修コラム

タミータックの失敗とリスク|後悔しないために知っておくべきこと

2026.01.08

出産後や大幅なダイエット後に現れる、お腹のたるみ。「どれだけ運動をしても、この伸びてしまった皮膚だけは戻らない…」そんな深い悩みを抱える方にとって、タミータック(腹部のたるみ取り手術)は、まさに人生を変える可能性を秘めた選択肢に見えるかもしれません。

しかし、美容医療の情報を長年リサーチし、多くの医師の見解に触れてきた経験から、この手術ほど「覚悟」と「正しい情報収集」が求められるものはないと痛感しています。

タミータックは、単なる脂肪吸引とは全く異なり、余剰な皮膚と脂肪を切除し、時には緩んだ筋肉(腹直筋)を縫い縮めるという、美容外科手術の中でも屈指の高難度・高侵襲手術です。劇的な変化が期待できる一方で、深刻な「失敗」や「リスク」と表裏一体。後悔してからでは取り返しのつかない事態を避けるため、ここでは、華やかな症例写真の裏に隠された現実、そして本当に知っておくべきリスクのすべてを、徹底的に掘り下げていきます。

1. タミータックで起こりうる失敗例

「失敗」と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。タミータックの手術は、下腹部を広範囲に切開し、皮膚を大きく剥離(はがす)するという、人体の構造に大きく介入するものです。そのため、起こりうる失敗も、単なる「イメージと違った」というレベルから、深刻な健康被害に至るまで、非常に幅広いのが特徴です。

私がリサーチしてきた中で、特に術後の後悔につながりやすい失敗例は、大きく以下の2つに分類できます。

 

①審美面(見た目)の失敗:

・傷跡(切開痕)が目立ちすぎる、汚い。

・新しく作ったおへその形や位置が不自然。

・仕上がりが凸凹している、または左右非対称。

・くびれができない、あるいは不自然なラインになる。

 

②機能面・健康面(合併症)の失敗:

・皮膚が壊死(えし)してしまう。

・傷口が感染症を起こす。

・血腫(けっしゅ:血の塊)や漿液腫(しょうえきしゅ:体液の溜まり)が長引く。

・感覚麻痺や慢性的な痛みが残る。

これらの失敗は、単独で起こることもあれば、複合的に発生することもあります。特に審美面の失敗は、たるみが解消されても、新たなコンプレックス(例えば、傷跡)を生み出すことになりかねず、精神的なダメージが非常に大きいものです。次のセクションから、これらの具体的な失敗例を一つずつ詳しく見ていきましょう。

 

失敗のカテゴリ 具体的な失敗例 主な原因(例)
審美面(見た目)の失敗 傷跡が汚い(肥厚性瘢痕、ケロイド) 医師の縫合技術、患者の体質、術後ケア不足
おへその形が不自然(真ん丸、傷が目立つ) 医師のデザイン力(美的センス)、縫合技術
凸凹、左右非対称 デザインミス、脂肪吸引のムラ、術後の拘縮
健康面(合併症)の失敗 皮膚の壊死(組織が死ぬ) 血流障害(過度な剥離、喫煙、強すぎる圧迫)
感染症(傷口が膿む) 衛生管理不足、糖尿病などの基礎疾患、術後ケア不足
血腫、漿液腫(体液が溜まる) 術後の出血、リンパ管の損傷、圧迫固定の不備

関連記事:タミータックと脂肪吸引の違い|あなたに必要なのはどっち?

2. 傷跡が汚い、ケロイドになった

タミータックを検討する上で、避けては通れない最大の問題が「傷跡」です。この手術は、下腹部(通常はビキニラインに沿って)を、腰骨から腰骨まで広範囲に切開します。したがって、「傷跡がゼロになることは絶対にない」という事実を、まず受け入れなければなりません。

問題は、「傷跡が残る」ことそのものよりも、「いかに目立たない綺麗な傷跡(成熟瘢痕)になるか」であり、最悪なのは「汚い傷跡」として永久に残ってしまう失敗です。

「汚い傷跡」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。

  • 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん):傷跡が赤く盛り上がり、ミミズ腫れのようになる状態。傷の範囲を超えて広がることはありませんが、非常に目立ちます。
  • ケロイド:肥厚性瘢痕と似ていますが、こちらは傷の範囲を超えて、周囲の正常な皮膚にまで赤みや盛り上がりが侵食していく状態。強いかゆみや痛みを伴うこともあります。これは「ケロイド体質」という遺伝的な素因が大きく関わっています。
  • 幅の広い傷跡:縫合した部分の皮膚に強い緊張(テンション)がかかり続けると、傷跡が徐々に引き伸ばされ、幅の広い白い傷跡(幅広瘢痕)になることがあります。
  • 色素沈着:傷跡が茶色くくすんでしまい、周囲の肌の色と馴染まない状態。

これらの失敗の原因は、一つではありません。
1. 医師の技術: 皮膚表面だけを縫うのではなく、その下の真皮層をいかに丁寧に、皮膚の緊張を分散させるように縫合(真皮縫合)できるか、という技術力に大きく左右されます。
2. 患者の体質: 前述のケロイド体質など、本人の治癒能力や体質も大きく影響します。
3. 術後のケア: 術後に傷跡をテープで固定し、安静を保つといったケアを怠ると、傷跡は広がりやすくなります。

多くの症例リサーチを通じて感じるのは、医師は「傷跡は必ず残りますが、下着に隠れる位置にデザインします」と説明しますが、その「隠れる」という言葉を鵜呑みにしてはいけない、ということです。温泉や更衣室など、人前で裸になる状況では確実に他人の目に触れます。その時、受け入れられる傷跡かどうかは、医師の縫合技術にかかっているのです。

 

傷跡のタイプ 特徴 主な原因
成熟瘢痕(理想的な傷跡) 白っぽく細い線状になり、盛り上がりや引きつれがない。 適切な縫合技術、良好な治癒経過、体質
肥厚性瘢痕 傷の範囲内で赤くミミズ腫れのように盛り上がる。 傷への過度な緊張、術後ケア不足、体質
ケロイド 傷の範囲を超えて盛り上がりが広がり、痛みやかゆみを伴う。 ケロイド体質(遺伝的素因)が最大の原因
幅広瘢痕 傷跡が引き伸ばされ、幅が広くなって目立つ。 皮膚への緊張(テンション)が強すぎる、縫合技術

3. おへその形が不自然

タミータック(特に広範囲に行う「フル・タミータック」)では、下腹部の皮膚を広範囲に切除し、上腹部の皮膚を下に引き下げてきます。この時、元々のおへそはそのままの位置に残し、引き下げてきた皮膚に新しく穴を開けて、おへそを出す「臍(さい)形成術」という処置が行われます。

つまり、術後のおへそは「新しくデザインされたおへそ」なのです。
ここに、医師の技術力、そして何よりも「美的センス」が問われるポイントがあります。

おへその形の失敗例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 形が不自然: 本来の「縦長」や「T字型」の自然な形ではなく、「真ん丸」や「横長」になってしまう。
  • 位置が不自然: 新しく配置された位置が、体の中心からズレている、あるいは高すぎる・低すぎる。
  • 傷跡が目立つ: おへその周囲の縫合痕が、リング状に白く目立ってしまい、「いかにも手術しました」という見た目になる。
  • 凹みがない: おへそ特有の「深さ(凹み)」がなく、平坦で「穴」だけが開いているような不自然な仕上がりになる。
  • おへそが小さすぎる・大きすぎる: 全体のバランスと合っていない。

私が多くの症例写真をリサーチした中で気づいたのは、お腹全体のたるみは劇的に改善していても、おへその形に違和感が残るケースが少なくない、ということです。傷跡は下着で隠せても、おへそは隠せません。水着や丈の短いトップスを着た時、このおへその「不自然さ」が、手術を後悔する大きな原因になり得るのです。

この失敗を避けるためには、カウンセリング時に、その医師が過去に手掛けた症例写真(お腹全体の写真だけでなく、おへそのアップ写真もあればベスト)を徹底的に確認し、その医師のデザインする「おへその形」が自分の好みと合っているか、自然な仕上がりへのこだわりを持っているかを見極めることが不可欠です。

 

評価ポイント 理想的な仕上がり 不自然な仕上がり(失敗例)
自然な縦長、またはT字型。 真ん丸、横長、歪んだ形。
位置 体の正中線上にあり、高さも自然なバランス。 中心からズレている、高すぎる、または低すぎる。
傷跡 おへその内側に隠れ、ほとんど目立たない。 おへその周囲にリング状の傷跡が目立つ。
深さ 適度な深さ(凹み)が再現されている。 平坦で凹みがない、あるいは逆に深すぎる。

4. 皮膚の壊死や感染症などの合併症

ここからは、審美面だけでなく、患者さんの生命や健康に直結する、最も深刻なリスクについて解説します。タミータックは皮膚を広範囲に剥離(はがす)するため、組織への血流が一時的に著しく悪化します。これが、重篤な合併症の引き金となります。

1. 皮膚の壊死(えし)
これは、タミータックにおいて最も恐れられる合併症の一つです。手術によって剥離された皮膚(特に下腹部中央や傷跡周辺)への血流が途絶え、組織が死んでしまう状態です。皮膚は紫色から黒色に変色し、感覚を失います。
壊死が起きてしまった場合、その部分の皮膚は元に戻りません。死んだ組織を取り除き、場合によっては他の部位からの皮膚移植が必要になるなど、複数回の再手術と、非常に痛々しい傷跡が残る結果となります。
このリスクは、「喫煙者」において爆発的に高まります。

2. 感染症
広範囲の切開創(きず)は、細菌が体内に侵入する「入り口」にもなります。手術室の衛生管理が不十分であったり、術後の傷口ケアを怠ったりすると、傷口が赤く腫れ上がり、高熱や強い痛みを伴う「感染症」を引き起こすことがあります。
重度の感染症は、傷口が開き、膿(うみ)が流れ出る状態(創部離開)に至ることもあり、抗生剤の長期投与や、傷口を再度開いて洗浄する処置が必要になります。当然、最終的な傷跡は非常に汚くなります。

3. 血腫(けっしゅ)と漿液腫(しょうえきしゅ)
剥離した空間に、術後の出血(血腫)や、リンパ液などの体液(漿液腫)が異常に溜まってしまう状態です。強い腫れや痛みの原因となるだけでなく、感染のリスクを高めたり、皮膚の生着を妨げたりします。
これを防ぐために、術後に「ドレーン」と呼ばれる血抜きの管を体内に留置することが一般的ですが、それでも溜まってしまった場合は、注射器で何度も体液を抜く処置が必要になります。

これらの合併症は、医師の技術(丁寧な止血、剥離範囲の適切な判断)と、クリニックの安全管理、そして患者自身の術後管理(特に禁煙)のすべてが揃って、初めて最小限に抑えられるのです。

 

重篤な合併症 主な症状・兆候 主なリスク因子
皮膚の壊死 皮膚が紫色〜黒色に変色、冷たくなる、感覚がなくなる。 喫煙、過度な剥離、強すぎる圧迫、糖尿病
感染症 傷口の強い赤み、熱感、腫れ、痛み、発熱、膿。 不衛生な管理、術後ケア不足、糖尿病、免疫不全
血腫・漿液腫 異常な腫れ、皮膚のぶよぶよ感、強い圧迫痛。 止血不足、ドレーン管理不備、術後の圧迫不足

関連記事はこちら:タミータックの傷跡はどのくらい?種類、位置、術後ケアまで完全ガイド

 

5. 左右非対称や凸凹した仕上がり

たるみは取れた。重い合併症も起きなかった。しかし、仕上がったお腹が「左右非対称」だったり、「表面が凸凹(でこぼこ)」していたりしたら、それは成功と言えるでしょうか。これは、審美面における重大な失敗の一つです。

左右非対称の原因
人間の体は元々、完全な左右対称ではありません。骨盤の歪みや筋肉の付き方には、誰しも左右差があります。経験豊富な医師は、この「元々の左右差」を術前に正確に診断し、切除する皮膚のデザインや、緩んだ筋肉を縫い縮める(腹直筋鞘縫縮)際の強さを左右で調整します。
この診断やデザインが甘いと、術後に元々の歪みが強調されたり、新たな左右差が生まれてしまったりするのです。

例えば、おへその位置が中心からズレている、くびれのラインが左右で違う、といった形で現れます。

凸凹(でこぼこ)の原因
タミータックは、たるんだ皮膚を切除する手術ですが、多くの場合、より美しく仕上げるために脂肪吸引を併用します。この脂肪吸引の技術が未熟だと、仕上がりに「取りムラ」が生じ、皮膚表面が凸凹になってしまうのです。
ここで非常に重要なのは、「タミータック(皮膚切除・縫合)の技術」と「脂肪吸引の技術」は、全く別物であるということです。

タミータックの名医が、必ずしも脂肪吸引の名医であるとは限りません。両方の手術を高いレベルで融合させ、滑らかな曲面(お腹)に仕上げるには、医師の豊富な経験と高度な技術、そして美的センスが不可欠です。

この失敗を避けるには、症例写真で「お腹全体の滑らかさ」「くびれのラインの自然さ」「左右対称性」を注意深く確認し、医師が脂肪吸引の技術にも長けているかどうかを見極める必要があります。

6. 失敗しないためのクリニック・医師選び

これまでに挙げた全ての「失敗」や「リスク」は、その発生確率をゼロにすることはできません。しかし、その確率を限りなくゼロに近づけることは可能です。その鍵は、ただ一つ。「誰に(どの医師に)手術を任せるか」に尽きます。

タミータックのような高難度手術において、価格の安さや広告の派手さでクリニックを選ぶことは、自らリスクに飛び込むようなものです。私が美容医療ライターとして培った知見に基づき、「名医」を見極めるための最低限のチェックリストを提示します。

1. 経歴・専門性: 「形成外科専門医」は必須条件
タミータックは、皮膚、脂肪、筋肉、血流といった人体の解剖学を深く理解していなければ安全に行えません。この基礎を最も厳しく叩き込まれているのが「日本形成外科学会認定 形成外科専門医」です。
美容外科医の中には、他科から転身し、形成外科のトレーニングを一切受けていない医師も(残念ながら)存在します。タミータックは、美容外科の中でも特に「再建外科(失われた形を元に戻す技術)」の知識が要求される手術。

形成外科専門医であることは、安全の第一歩です。できれば、大学病院の形成外科などで、保険診療(腹壁瘢痕ヘルニアなど)も含めた難易度の高い手術経験を積んできた医師が理想です。

2. 症例数と症例写真の「質」
「症例数○件!」という数字だけに騙されてはいけません。見るべきは、その「質」です。

  • タミータック(特にフル)の症例が豊富か:(ミニタミータックや脂肪吸引ばかりではないか?)
  • 傷跡の経過を公開しているか: 術直後の綺麗な写真だけでなく、術後半年、1年といった「傷跡が完成するまで」の長期経過写真を隠さず公開しているか。
  • おへその形にこだわりを感じるか: 前述の通り、おへその仕上がりが自然で美しいか。
  • 様々な症例があるか: 軽度のたるみから、重度のたるみ(例:双子出産後、-30kgのダイエット後)まで、多様なケースに対応した実績があるか。

3. 安全管理体制の徹底
タミータックは、ほぼ全てのケースで全身麻酔が必要です。これは、クリニックの「組織力」が問われる領域です。

  • 麻酔科専門医の常駐: 執刀医が麻酔管理を兼任する(片手間の)体制ではなく、手術中ずっと患者のそばに「麻酔科専門医」がいて、呼吸や血圧を管理する体制か。
  • 入院設備の有無: これほど侵襲の大きな手術を「日帰り」で行うクリニックは、安全管理意識が低いと言わざるを得ません。術後の急変に備え、最低でも一泊は医師・看護師の管理下で入院できる設備が整っているか。
  • 緊急時対応: 万が一、重篤な合併症(肺塞栓、臓器損傷など)が起きた際、速やかに連携できる大学病院や救急病院との具体的な提携体制が整っているか。

 

チェック項目 最低限の基準(これ以下は危険) 理想的な基準(名医の可能性)
医師の専門性 「形成外科専門医」であること。 形成外科専門医であり、大学病院等での高難度手術(再建外科)の経験が豊富。
症例写真 タミータックの症例が複数あり、傷跡が確認できる。 傷跡の「長期経過(1年後など)」やおへそのアップ写真、様々な難易度の症例を多数公開。
安全管理(麻酔) 全身麻酔に対応できる設備がある。 「麻酔科専門医」が手術に専属で立ち会う(執刀医と別)。
安全管理(術後) 緊急連絡先が明確である。 「入院設備」があり、最低一泊は医師・看護師の監視下で過ごせる。
喫煙への対応 「禁煙してください」と口頭で言う。 術前・術後の厳格な禁煙期間(最低1ヶ月〜)を義務化し、守れないなら手術を断る姿勢。

参考ページ:たるんだお腹を解消する「タミータック」とは?効果・傷跡・費用を徹底解説

7. カウンセリングでのリスク説明の重要性

前項で挙げた「名医」の条件を満たす医師は、必ずカウンセリングでの説明が誠実かつ丁寧です。特に、リスク説明にどれだけ時間を割いてくれるかは、その医師の信頼性を測る最も重要なバロメーターです。

「名医」は、決して「簡単ですよ」「絶対安全です」とは言いません。なぜなら、タミータックがどれほどリスクの高い手術かを知り尽くしているからです。彼らは、良いこと(メリット)よりも先に、悪いこと(デメリットや合併症)から説明を始めます。

カウンセリングで、あなたは「審査員」として、以下の点をチェックしてください。

  • 医師本人が十分な時間をかけて説明しているか(カウンセラー任せ、マニュアル通りの説明で終わっていないか)。
  • 皮膚の壊死、感染症、ケロイド、おへその変形など、最悪のケースを包み隠さず説明してくれたか。
  • 「あなたの場合」(あなたの皮膚のたるみ具合、脂肪の付き方、ケロイド体質の有無、喫煙歴など)に基づいた、個別具体的なリスクを指摘してくれたか。
  • あなたの質問や不安(「傷跡は本当に隠れますか?」「痛いのはいつまでですか?」)に対し、ごまかさず、真摯に、具体的に答えてくれたか。
  • (特に重要)喫煙のリスクについて、どれだけ厳しく説明してくれたか。

私が取材した信頼できる医師たちは皆、「手術をしない」という選択肢も平等に提示していました。「あなたのたるみなら、タミータックではなく、まずはこちらの引き締め治療(レーザーなど)を試してみては?」あるいは「もう少し運動と食事で脂肪を減らしてから、ミニタミータックを検討しましょう」と。利益よりも患者の安全と満足度を最優先する姿勢こそ、信頼の証です。

逆に、「今日契約すれば割引します」などと、患者の不安が解消されないうちに契約を急がせるクリニックは、どれだけ立派なウェブサイトを持っていても、その時点で選択肢から外すべきだと私は断言します。

参考:産後の体型崩れに悩むママへ。タミータックで取り戻す自信

8. タミータックの修正手術について

「もし失敗したら、修正すればいい」…タミータックにおいて、この考えは非常に危険です。
結論から言うと、タミータックの修正手術は、「極めて困難、かつ限界がある」のが現実です。

なぜ困難なのか?

  1. 血流の問題:初回の手術で広範囲に剥離しているため、術後の皮膚は(たとえ壊死していなくても)血流が悪化しています。この状態で再度メスを入れると、今度こそ皮膚壊死を引き起こすリスクが非常に高くなります。
  2. 組織の瘢痕化(はんこんか):手術した部位は、内部が硬い瘢痕組織になっています。この硬い組織を再度剥離したり、凸凹を修正したりするのは、正常な組織を扱うよりも格段に難しく、出血も多くなります。
  3. 皮膚の「余裕」がない:初回手術で、余っていた皮膚はすでに切除されています。例えば「傷跡の位置が気に入らないから、もっと下に移動させたい」と思っても、切除すべき皮膚の「余裕」が残っていなければ不可能です。

修正できること・できないこと
修正手術で対応できる可能性があるのは、
・汚くなった傷跡を、再度縫合し直す(傷跡修正術)
・不自然なおへその形を、再度デザインし直す(臍形成)
・凸凹した部分に、脂肪を注入して滑らかにする(脂肪注入)
といった程度です。

しかし、これらも「初回手術よりマシにする」程度が限界であることが多く、初回手術で失われた血流や、取りすぎた皮膚を元に戻すことはできません。そして、修正手術の費用は、初回手術よりも遥かに高額になるのが一般的です。

タミータックは、「最初の一回の手術がすべて」。この言葉を肝に銘じ、修正手術(他院修正)を多く手がけている医師(=失敗例を多く知っている医師)に、初回の手術を任せる、というのも一つの賢明な判断基準かもしれません。

9. 喫煙者がタミータックを受けるリスク

あえて、このトピックを独立した見出しとして立てます。それほどまでに、「喫煙」はタミータックにおける最大の禁忌(タブー)であり、最も回避すべきリスクだからです。

「少しぐらいいいだろう」「電子タバコだから大丈夫」…その考えが、取り返しのつかない結果を招きます。

【なぜ喫煙がそれほど危険なのか?】
タバコに含まれる「ニコチン」は、体中の血管を強力に収縮させる作用があります。特に、皮膚の表面にある細い毛細血管は、ニコチンの影響を最も強く受けます。
タミータックは、ただでさえお腹の皮膚を広範囲に剥離し、血流がギリギリの「綱渡り状態」になっています。その状態でタバコを吸うと、どうなるか。

答えは明白です。血流が完全にストップし、皮膚が「壊死」します。

私が取材した形成外科医は、断言していました。「喫煙者のタミータックは、時限爆弾を抱えながら手術するようなものだ」と。「術後に隠れてタバコを吸い、お腹の皮膚が真っ黒になって運ばれてきた患者を何人も見た。医師としてこれほど辛いことはない」と。

ニコチンは、血管収縮だけでなく、傷の治癒に必要なコラーゲンの生成を妨げ、酸素を運ぶヘモグロビンの働きも阻害します。つまり、

・皮膚壊死のリスクが数十倍に跳ね上がる。

・傷が全く治らず、感染症のリスクが爆発的に高まる。

・最終的な傷跡が、通常よりも遥かに汚く、太く、目立つものになる。

これらは「可能性」ではなく、「喫煙を続ければほぼ確実に起こる未来」です。

信頼できるクリニックは、必ず術前に「最低でも術前1ヶ月、術後1ヶ月(できれば3ヶ月)の完全禁煙」を絶対条件として提示します。(ニコチンガム、ニコチンパッチも同様に禁止です)
もし、あなたが喫煙者であり、この「完全禁煙」を守る自信がないのであれば、どれほどお腹のたるみに悩んでいても、絶対にタミータックの手術を受けてはいけません。たるんだお腹で悩み続ける人生と、皮膚が壊死したお腹で後悔する人生、どちらがマシか、冷静に判断すべきです。

10. 安全に理想の結果を得るために

これまでタミータックの数々のリスクについて詳しく解説してきました。不安を煽るためではなく、あなたが後悔しないために、手術を受ける「前」に知っておいてほしかったからです。

では、安全に理想の結果を得るために、私たちは何をすべきでしょうか。医師選びが最も重要であることは前述の通りですが、それと同時に、患者側にも「覚悟」と「行動」が求められます。

1. 自分の「適応」を冷静に見極める
まず、あなたのそのたるみは、本当にタミータック(フル・タミータック)でなければ解決できないものでしょうか?
・たるみが下腹部に限局している → ミニタミータックで十分かもしれない。
・皮膚のたるみは軽度で、脂肪が多い → 脂肪吸引だけで改善するかもしれない。
・たるみも脂肪も軽度 → 高周波(サーマクール)やHIFUなどの非侵襲治療で引き締められるかもしれない。
・内臓脂肪が多い → まずはダイエットと運動が最優先である。
タミータックは最終手段です。より低侵襲な方法で解決できるなら、それに越したことはありません。複数の医師の意見を聞き、自分の「適応」を客観的に判断することが重要です。

2. 術後管理を「完璧」にこなす覚悟
タミータックの成否は、手術室を出た後、患者自身がどう過ごすかに大きく左右されます。
絶対禁煙:これは議論の余地のない、最低限の義務です。
圧迫固定: 術後の腫れや内出血を抑え、皮膚を正しく生着させるため、専用のガードルによる圧迫が指示されます。苦しくても、自己判断で中断してはいけません。
安静の維持: 術後しばらくは、前屈みの姿勢を強いられます。腹筋に力を入れる動作(重いものを持つ、起き上がる)は厳禁です。日常生活に大きな支障が出ることを覚悟し、家族の協力や長期休暇を確保する必要があります。
術後の検診: ドレーンの抜去、抜糸、傷跡のチェックなど、医師の指示通りに必ず検診を受けること。漿液腫などの合併症を早期に発見するためにも不可欠です。

3. 「現実的な期待値」を持つ
タミータックは魔法ではありません。
傷跡はゼロにはなりません。たるんだ皮膚を、「下着に隠れる(はずの)長い傷跡」と「交換」する手術です。
モデルのような腹筋は手に入りません。それは筋肉(腹直筋)の問題であり、タミータックで割れた腹筋が浮き出るわけではありません。(腹直筋鞘縫縮は、あくまで「緩んだ筋肉を中央に寄せる」処置です)
この現実を受け入れ、「何を失い(傷跡)、何を得る(たるみのないお腹)か」を天秤にかけ、それでも「得たい」と強く願う場合にのみ、受けるべき手術なのです。

タミータックの決断は「人生を預ける医師」を見つけることから始まる

タミータックは、出産やダイエットという大きなライフイベントを乗り越えた証である「たるみ」を解消し、再び自信を取り戻すための、非常に強力な医療技術です。しかし、その裏側には、皮膚の壊死、おへその変形、そして一生残る傷跡といった、他の美容医療とは比較にならないほど重いリスクが確実に存在します。

この記事で一貫してお伝えしてきたのは、これらのリスクは医師の技術と安全管理、そして患者自身の覚悟によって、その多くが回避可能であるということです。成功の鍵は、お腹のたるみという「結果」だけを見るのではなく、その下にある筋肉、血管、皮膚のすべてを熟知した「形成外科専門医」であり、かつ全身麻酔と入院管理という万全の安全体制を提供でき、そして何よりも喫煙などのリスクに厳格な姿勢を持つ医師を見つけ出すことに尽きます。

これからあなたが取るべき行動は、ただ一つです。

まずは、価格や広告に惑わされず、この記事で挙げた「医師選びのチェックリスト」を基準に、複数のクリニックのカウンセリング(医師の診察)を予約してみてください。

そして、もしあなたが今、タバコを吸っているのであれば、手術の決断以前に、今日、この瞬間から「完全禁煙」を始めてください。それが、あなた自身が安全な未来のためにできる、最も確実で、最も重要な第一歩です。

タミータックは、医師と患者が「二人三脚」で重篤なリスクに立ち向かい、初めて理想の結果にたどり着ける、非常にシビアな手術です。その決断が、決して後悔のものにならぬよう、冷静な情報収集と準備を徹底することを心から願っています。

こちらも読まれています:タミータックのダウンタイム完全ガイド|回復までの全記録

美容医療は 「自己肯定感を高めるための選択肢のひとつ」 という信念の もと、一人ひとりの美しさと真摯に向き合う診療スタイルを貫いています。現在は、アジアの美容外科医との技術交流や教育にも力を入れ、国際的なネットワークづくりにも取り組んでいます。

  • <所属学会>

  • 日本美容外科学会JSAS

  • 日本美容外科学会JSASPS

  • 日本形成外科学会

  • 乳房オンコプラスティック

  • <資格>

  • 日本外科学会専門医

  • コンデンスリッチファット療法認定医

  • Total Definer by Alfredo Hoyos 認定医

  • VASER Lipo 認定医

  • RIBXCAR 認定医

【監修医師】

Casa de GRACIA GINZA / GRACIA Clinic 理事長 美容外科医・医学博士 樋口 隆男 Takao Higuchi

18年間にわたり呼吸器外科医として臨床に携わり、 オーストラリアの肺移植チームでの勤務経験も持つ。外科医としての豊富な経験を土台に、10年前に美容外科へ転向。現在は東京・銀座と福岡に美容クリニックを展開し、これまでに10,000例以上の脂肪吸引、4,000例を超える豊胸手術を手がけている。特にベイザー脂肪吸引、ハイブリッド豊胸、脂肪注入豊尻、肋骨リモデリング(RIBXCAR)、タミータック、乳房吊り上げなどのボディデザインを得意とし、自然で美しいシルエットづくりに国内外から定評がある。

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