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COLUMN医師監修コラム

豊胸手術後のダウンタイム完全ガイド|痛み・腫れのピークと仕事復帰まで

2025.12.03

豊胸手術を決意された方の多くが抱える最大の不安、それは「ダウンタイム」ではないでしょうか。「どれくらい痛いの?」「いつまで腫れるの?」「仕事はいつから行ける?」そういった具体的な疑問や、漠然とした不安のために、なかなか一歩を踏み出せないという話を、私も多くの相談者から聞いてきました。

理想のボディラインを手に入れることは素晴らしい変化ですが、その後の回復期間をいかに快適に、そして不安なく過ごせるかが、最終的な満足度を大きく左右します。ダウンタイムは単に身体が治るのを待つ期間ではありません。これは、新しい自分を受け入れ、より良い結果へと導くための、非常に重要な準備期間なのです。

ここでは、私が長年にわたり、美容医療の現場で培ってきた経験と、多くの患者さんからのフィードバックを基に、豊胸手術後のダウンタイムの全貌を、客観的かつ論理的に解説していきます。痛みのピークを乗り越える具体的な方法から、仕事や日常生活への復帰スケジュール、さらにはダウンタイムを最短で快適に過ごすための独自の工夫まで、他では得られない一次情報に基づいた詳細なガイドを提供します。

この情報を通じて、あなたのダウンタイムに対する不安を解消し、前向きな気持ちで理想の未来へと進むための確かな道筋を示せるはずです。


1. 豊胸手術後のダウンタイムの全貌

ダウンタイムとは、手術によって生じた身体的な反応(腫れ、痛み、内出血など)が落ち着き、日常生活に支障のない状態に戻るまでの期間を指します。豊胸手術におけるダウンタイムは、単に傷が治るだけでなく、体内に挿入されたもの(インプラントや脂肪)が身体に馴染み、最終的な形に落ち着くまでの期間も含めて考える必要があります。

この期間は、術式や個人の体質によって大きく異なりますが、一般的には初期の強い症状が落ち着くまでの3日間〜1週間が、最もケアに集中すべき時期です。その後、大きな腫れや内出血が引くまでに1ヶ月程度を見込むのが現実的でしょう。しかし、最終的な形が完成し、硬さが完全に取れるまでには、数ヶ月を要する場合もあります。

特に豊胸手術は、胸部というデリケートで可動域の広い部位への施術ですから、術後のケアが結果に直結します。適切なケアを行うことで、不必要な症状の長期化を防ぎ、より自然で美しい仕上がりへと近づけることが可能になるのです。

主要な症状と発生期間の目安を整理しておきましょう。

症状 特徴 発生期間の目安
痛み 筋肉痛のようなズキズキとした痛み。特に動き始めに感じる。 ピークは術後2〜3日。1週間程度で日常生活に支障ないレベルに。
腫れ(浮腫) 胸全体が張ったような感覚。最初は予想以上に大きく見えることがある。 術後1週間がピーク。大きな腫れは2〜3週間で引き、その後数ヶ月かけて徐々に落ち着く。
内出血 皮膚の青紫色や黄色の変色。重力により下腹部や脇に現れることも。 1〜3週間で消失するケースが多い。
拘縮(硬さ) インプラント周囲にできる被膜の硬さ。 術後数週間から始まり、マッサージなどで数ヶ月かけて柔らかくしていく。

 

※関連記事:脂肪注入豊胸で叶える自然な美バスト|定着率とメリット・デメリット

 

2. 術後3日間の痛みのピークと乗り越え方

豊胸手術後の痛みは、不安要素の中でも特に大きいものですが、その強さと期間は予測可能です。多くの場合、痛みのピークは手術を終えた直後から始まり、術後24時間から72時間(3日間)にかけて発生します。この痛みの主な原因は、組織の損傷そのものよりも、体内に異物を入れたことによる組織の伸展、そして手術操作による筋肉痛に近い炎症反応です。

 

特にインプラントバッグによる豊胸術で、大胸筋下に挿入した場合、筋肉の剥離と伸展が起こるため、「胸の上に重いものが乗っているような」「激しい筋力トレーニングをした翌日のような」痛みを訴える方が目立ちます。一方、脂肪注入の場合は、脂肪を採取した部位(太ももやお腹など)の痛みが強くなる傾向があります。

 

しかし、現代の医療では、このピーク時の痛みをコントロールするための対策が確立されています。決して耐え難いものではなく、適切な管理を行うことで乗り越えられるのです。

 

■ 痛みの種類と推奨される対処法

私の経験上、痛みを最小限に抑えるには、医師から処方された鎮痛剤を指示通りに服用することが最も重要です。痛みが強くなってから服用するのではなく、痛みの予防として定時的に服用することが、QOL(生活の質)の維持に欠かせません。また、身体の体勢も痛みに大きく影響します。

時期/痛みの程度 推奨される具体的な対処法 注意点・ポイント
術後〜3日間 (ピーク時) ・処方された鎮痛剤を定時服用

・術後クーリング(冷却)を継続

・上半身を少し起こした体勢(セミファーラー位)で安静にする

我慢せず薬を使うことが重要です。無理な体動は避ける。
術後4日〜1週間 (徐々に軽減) ・鎮痛剤は必要に応じて頓服に移行

・ゆっくりとしたストレッチで血行を促す(医師の許可を得て)

・身体を動かす時は脇を締め、肘から動かすことを意識する

痛みがなくなっても、急に負荷をかけるのは厳禁です。

術後最初の夜をいかに乗り切るかが、精神的にも大きなポイントとなります。私は術後の患者さんに対し、枕やクッションを背中に重ねて、ベッドの上で少し体を起こした状態で眠ることを勧めています。完全に横になるよりも、胸部への圧力が分散され、呼吸が楽になるため、痛みが軽減し、結果的に良質な睡眠を取りやすくなるのです。

 

3. 腫れと内出血の経過スケジュール

痛みと並んで不安になりやすいのが、手術後の腫れと内出血です。これらは手術の規模が大きければ大きいほど目立ちますが、一時的なものであり、必ず引いていくものです。この自然な経過を知っておくだけで、精神的な負担を大きく軽減できます。

■ 腫れ(浮腫)の時系列

腫れは、手術で組織を触ったことによる炎症反応や、組織液の貯留が原因で起こります。特に術直後は、麻酔液なども含めて胸が張ったように見え、想像以上に大きく感じるかもしれません。

 

  1. 術直後〜3日間: 腫れが徐々に強くなり、ピークを迎えます。胸がカチカチに硬く、熱を帯びることもあります。この時期は無理せず安静にし、冷却を継続することが効果的です。
  2. 術後1週間: 腫れのピークを過ぎ、徐々に引き始めます。この頃には、胸の張りが少し和らぎ始めるのを実感できるでしょう。
  3. 術後1ヶ月: 大きな腫れはほとんど引き、サイズや形が落ち着き始めます。最終的な完成形がなんとなく見えてくる時期です。
  4. 術後3〜6ヶ月: 残ったわずかな腫れや硬さ(拘縮)が解消され、組織が完全に馴染みます。この頃に最終的な仕上がりとなります。

 

■ 内出血(あざ)の時系列

内出血は、皮膚の深い部分で出血した血液が表面に透けて見える現象です。術後数日してから目立ち始めることが多いです。

 

  • 最初は青紫色: 術後数日から始まり、一番目立つ色です。
  • 黄色〜緑色へ: 1週間〜10日程度で、血液が分解され始めると、色が黄色や緑色に変化します。この色の変化は回復のサインです。
  • 消失: ほとんどの場合、2〜3週間以内には完全に吸収され、目立たなくなります。重力で体の低い位置(特に脇腹や下腹部)に内出血が移動してくることもありますが、これも自然な現象です。

 

私からの一言アドバイスとして、腫れや内出血の色が変化していく様子を、鏡で見るたびに「治っている証拠だ」とポジティブに捉えることが、ダウンタイムを乗り切る精神的な支えになります。不安であれば、遠慮せずにクリニックに写真を送って相談してみてください。

4. 圧迫固定(バンド・ブラ)の必要性と期間

豊胸手術後のダウンタイムにおいて、「圧迫固定」は単なる術後の処置ではなく、手術結果の質を高めるための極めて重要なプロセスです。圧迫の目的は、大きく分けて二つあります。

 

  1. 形を整える(インプラント豊胸): 挿入したインプラントが正しい位置に安定するよう誘導し、美しいバストの形を形成します。
  2. 腫れや出血を抑える(全術式共通): 適度な圧力をかけることで、出血や組織液(浮腫の原因)の貯留を防ぎ、腫れを早く引かせます。

 

この固定は、術式によってその目的と期間、使用するアイテムが異なります。自己判断で圧迫を緩めたり、完全にやめてしまったりすることは、形が崩れるリスクや、腫れの長期化に直結するため、絶対に避けなければなりません。

■ 術式別の圧迫固定の目的と期間比較

豊胸術式 固定の主な目的 固定期間の目安 主な固定アイテム
インプラント バッグの位置固定と被膜拘縮の予防(マッサージブラへの移行) 術後1週間〜1ヶ月(その後数ヶ月は専用ブラ着用が一般的) 専用のバンド、固定ブラ、ノンワイヤーブラ
脂肪注入 胸:脂肪生着の安定化、腫れの軽減

採取部:内出血・腫れの軽減、組織の引き締め

胸:術後1週間程度

採取部:術後1ヶ月程度(ガードルなど)

弾性包帯、ガードル(採取部)、ノンワイヤーブラ
ヒアルロン酸 注入剤の安定と定着 数日間〜1週間程度 特に固定は不要だが、ワイヤーブラは避ける

 

私自身の患者さんへの指導で、特に注意を促すのは、圧迫バンドやブラが食い込んで痛みや赤みが出た場合です。我慢しすぎるのは逆効果で、血行不良を招くリスクすらあります。その際は、すぐにクリニックに相談し、バンドの位置や圧の調整を行ってください。「きつすぎる=効果が高い」わけではないという点を理解することが大切です。

 

※関連記事:豊胸手術で名医を見つける方法|後悔しないクリニック選び7つの条件

 

5. 仕事や学校はいつから復帰できる?

社会生活を送る上で、仕事や学校への復帰時期は、手術の計画を立てる上で最も現実的な問題となるでしょう。結論から言うと、豊胸手術後の復帰時期は、術式と仕事内容(身体的な負荷)によって大きく異なります。

 

■ 仕事の種類別 復帰時期の目安

身体に負担をかける動作を伴う仕事は、復帰時期を慎重に考える必要があります。特にインプラント豊胸の場合、胸の動きや腕の上げ下げを伴う作業は、術後しばらくは大きな制限がかかります。

仕事の種類 想定される身体的な負荷 復帰時期の目安(インプラント/脂肪注入) 復帰時の注意点
デスクワーク (軽作業) ほとんど負荷なし。長時間の座位。 術後3日〜1週間 重い荷物(PCなど)を持たない。デスクの高さに注意し、前かがみにならないよう意識する。
接客業 (立ち仕事中心) 長時間立つ、軽度の腕の上げ下げ。 術後1週間〜10日 荷物運びや棚上げなどの動作は、最低3週間は完全に避けるべきです。
肉体労働 (重労働) 重いものの運搬、腕を激しく動かす作業。 術後3週間〜1ヶ月半 医師の明確な許可が出るまでは、絶対に負荷をかけないこと。特にインプラントは厳禁。

学校への復帰は、体育の授業や部活動を除けば、デスクワークと同じく術後3日〜1週間が目安となります。しかし、通学で重いリュックサックやカバンを持つ場合は、誰かに持ってもらうか、キャリーケースを利用するなど、極力、肩や胸に負担がかからない工夫が求められます。

 

私からのお願いとして、手術前のカウンセリングの段階で、自身の仕事内容(具体的な動作)を医師に詳細に伝えることが欠かせません。その情報に基づいて、現実的で安全な復帰スケジュールを立てることが、結果的にダウンタイム中のストレスを最小限に抑える鍵となります。

 

6. 日常生活の制限(運転、家事、入浴)

手術後の回復は順調に進んでいるように見えても、普段何気なく行っている日常の動作が、実は胸に大きな負担をかけていることがあります。これらの制限を正しく理解し、守ることは、合併症のリスクを避ける上で非常に重要です。

 

■ 自動車の運転

運転は、ステアリング操作で腕や胸の筋肉を使うため、ダウンタイム中は制限されます。最も大きな問題は、急ブレーキを踏む動作や、とっさのハンドル操作です。これらの動作は、胸部に急激な力が加わり、術後の傷や組織に負担をかけるリスクがあります。

  • 制限期間の目安: 術後1週間程度は、車の運転を完全に控えるべきです。
  • 再開の判断基準: 脇を締め、肘を曲げた状態で、ステアリングをスムーズに回す動作に痛みが全くないこと、そして、鎮痛剤を服用していないことが条件となります。

■ 家事(料理・洗濯など)

家事の中でも、特に注意が必要なのは「重いものを持ち上げる動作」と「腕を高く上げる動作」です。

例えば、洗濯カゴを持ち上げる、高い棚から物を取る、床を拭くなどの動作は、胸の筋肉に力を入れることになるため、術後3週間は控えるべきです。

日常動作 制限期間の目安 代替・工夫すべき点
重い荷物を持つ (5kg以上) 術後3週間〜1ヶ月 家族や友人に頼む。荷物はリュックサックではなく、キャリーケースやカートを利用する。
シャワー 術後1日〜3日目から(傷口を濡らさないように) 手術部位以外は濡らしてOK。胸の傷口はテープで保護し、体は拭き取る程度にする。
入浴(湯船) 術後1週間〜10日後(抜糸後) 湯船は血行を良くしすぎるため、腫れや内出血が引くまではシャワーのみにしましょう。
洗髪 術後1週間程度は美容院で下向きに洗うか、家族に頼む 自分で洗う場合は、腕を上げずに前かがみにならないよう注意が必要。

 

私自身、術後のクライアントさんには、回復の第一週は「ホテルでの休暇だと思って過ごしてください」と伝えています。家事のストックや食事の準備を事前に済ませておくなど、周囲の協力を得て、とにかく安静を最優先する計画を立てることが、後のスムーズな回復を支えます。

 

※関連記事:シリコンバッグ豊胸の全て|種類・サイズ選びから費用・ダウンタイムまで

 

7. 運動や旅行はいつからOK?

ダウンタイム中に身体を動かせないことは、アクティブな方にとっては大きなストレスになります。しかし、運動の再開時期を誤ると、傷口が開いたり、インプラントが動いてしまったり、脂肪の生着に悪影響を及ぼしたりするリスクがあります。再開は、「負荷の低いものから段階的に」が鉄則です。

 

■ 運動再開のステップと目安の期間

ここで、具体的な運動の種類と再開時期の目安を、段階的にまとめておきます。

運動のレベル 運動の種類 再開時期の目安 再開時の注意点
レベル1 (超軽度) 散歩、ゆっくりとしたウォーキング、足首のストレッチ 術後1週間〜10日 胸が揺れないように、しっかりとした固定ブラを着用。痛みを感じたらすぐに中断。
レベル2 (軽度) 軽いジョギング、下半身中心の筋トレ(スクワットなど)、ヨガ(胸に負担のないポーズ) 術後3週間〜1ヶ月 胸筋を鍛えるプッシュアップやベンチプレスは厳禁。
レベル3 (本格的) 本格的な筋力トレーニング(胸筋含む)、激しい水泳、球技、スキーなど 術後2ヶ月半〜3ヶ月以降 インプラント豊胸の場合、胸筋への負荷は特に慎重に。必ず医師の最終確認を得ること。

■ 旅行(飛行機移動)の可否

旅行は、重い荷物を持つことや長時間の移動、そして気圧の変化が懸念されます。飛行機での移動は、気圧の変化により、インプラント周囲の空間に一時的な空気の変動をもたらす可能性があります。しかし、これは極端に懸念すべきことではありません。それよりも、空港での荷物の上げ下ろしや、旅行中の予期せぬトラブルへの対処が、体力的な負担になります。

目安として、海外旅行や飛行機移動を伴う長距離の旅行は、術後1ヶ月以降を目安とするのが安全です。術後間もない時期は、万が一の事態に備えて、すぐに手術を受けたクリニックに戻れる距離で、安静に過ごすことが最善の選択といえます。

 

※関連記事:豊胸するならシリコンと脂肪注入どっち?効果・費用・リスクを徹底比較

 

8. ダウンタイムを早く終わらせるための工夫

回復期間をただ待つだけでなく、積極的に行動することで、ダウンタイムを短縮し、より快適に過ごすことが可能です。ここでは、私が多くの患者さんを見てきて効果的だと実感した、具体的な「セルフケア」と「心構え」について解説します。

■ 回復を促すための積極的なOK行動

  1. 体を冷やしすぎない保温ケア: 術後の初期は炎症を抑えるために冷却が必要ですが、それを過ぎたら血行を促す保温が回復を早めます。全身を温めることは、内出血の吸収を助け、硬さを予防する上で非常に効果的です。ただし、胸部を直接温めるのは、炎症が治まってからにしましょう。
  2. 良質な睡眠の確保: 睡眠中に分泌される成長ホルモンは、細胞の修復を促し、身体の回復に欠かせない役割を果たします。日中は無理せず、夜は7〜8時間を目安に質の高い睡眠を確保することが、何よりも大切です。
  3. 栄養バランスの取れた食事: 身体の修復には、タンパク質(細胞の材料)やビタミンC(コラーゲンの生成を助ける)、亜鉛などのミネラルが必要です。インスタント食品や偏った食事を避け、積極的にこれらを含む食材を摂取する意識を持ちましょう。

■ ダウンタイムを長引かせるNG行動とOK行動の比較

行為 NG行動(避けるべき理由) OK行動(推奨される理由)
飲酒・喫煙 血液循環を悪化させ、傷の治りを遅らせる。喫煙は特にNGです。 十分な水分補給。全身の血行を促し、デトックス効果も期待できます。
自己判断のマッサージ 時期を誤ると、術後の組織を傷つけたり、炎症を悪化させるリスクがあります。 医師から指示された時期と方法で、正しいマッサージを行う。
過度な不安 ストレスは自律神経を乱し、身体の回復力や免疫力を低下させる可能性があります。 アロマやお気に入りの音楽でリラックスする時間を作る。回復は順調だと信じる。

 

特にマッサージに関しては、インプラント豊胸では重要ですが、開始時期や強さは必ず医師の指導に従ってください。「早めに始めれば早く柔らかくなる」という考え方は間違いで、組織が安定する前に無理な力を加えると、かえってトラブルの原因になりかねません。

 

9. 豊胸方法によるダウンタイムの違い

ダウンタイムの具体的な症状や期間は、選択する豊胸術によって大きく異なります。ここでは、主要な3つの豊胸術のダウンタイムの特徴を比較し、それぞれの違いについて深く掘り下げていきます。

 

■ 主要豊胸術のダウンタイム比較

術式 痛みの強さ(ピーク時) 腫れが引くまでの期間 仕事復帰の目安
インプラント豊胸 強い〜非常に強い(特に大胸筋下の場合) 大きな腫れは2週間程度、完全に落ち着くのは3〜6ヶ月 1週間〜10日
脂肪注入豊胸 胸は軽度。脂肪採取部の痛みが中〜強 胸・採取部ともに2週間〜1ヶ月。完全に生着するのは3ヶ月 3日〜1週間
ヒアルロン酸注入 軽度(注射の痛み程度) ほとんど腫れないか、数日で収まる 翌日から可能

■ 術式ごとのダウンタイムの特異性

  • インプラント豊胸の特異性: 痛みの原因が「異物」と「筋肉の伸展」にあるため、痛み止めが効きにくい種類の痛みが発生することがあります。術後しばらくは、仰向けで寝るのが辛い、自分で起き上がれないといった症状が出やすいです。
  • 脂肪注入豊胸の特異性: ダウンタイムが胸と脂肪採取部(多くは太ももや腹部)の二箇所に発生するのが最大の特徴です。胸の痛みは比較的軽いものの、採取部が広範囲の筋肉痛のような状態になります。また、採取部にはガードルによる圧迫が必須であり、これが日常生活の不便さにつながります。
  • ヒアルロン酸注入の特異性: ほとんどダウンタイムがないのが利点ですが、注入直後はヒアルロン酸が柔らかくなるまで、強い圧迫を避ける必要があります。

私がコンサルティングをする際、脂肪注入を検討される方には、「胸よりも採取部のダウンタイムを重視して計画を立てるべき」と伝えています。採取部の痛みや内出血が、日常生活や仕事復帰のネックになることが多いからです。

 

10. 快適なダウンタイムを過ごすための準備リスト

ダウンタイムの期間をいかに快適に乗り切れるかは、手術前の「準備」にかかっています。不安を和らげ、回復に集中できる環境を整えておくことで、回復の質は格段に向上します。ここでは、手術前に準備しておくべき具体的なアイテムと心構えをリストアップします。

■ 術前から整えるべき具体的なアイテム

特に術後数日間は、腕を上げたり、重いものを持ったりする動作が難しくなります。この期間を想定した準備が欠かせません。

カテゴリー 準備すべきアイテム 重要性/利用シーン
衣類 前開きのゆったりした服(パジャマ、トップス)、大きめのカーディガン 頭からかぶる服は、腕を上げる動作が必要で痛みが伴います。前開きなら楽に着替えられます。
睡眠 背もたれ用クッション、抱き枕、円座クッション(脂肪採取部が臀部の場合) 上半身を少し起こした体勢(セミファーラー位)での安楽な睡眠を助けます。
衛生用品 ボディシート、ドライシャンプー、柄の長いボディスポンジ 入浴や洗髪が制限される期間の衛生管理に役立ちます。腕を動かす頻度を減らせます。
食事 栄養価の高いレトルト食品、冷凍食品、調理済み総菜 術後数日間は調理を極力避けるため、すぐに食べられるものを用意しておきます。

■ 精神的な準備と協力体制の構築

ダウンタイムを乗り切る上で、最も過小評価されがちなのが精神的な準備です。身体的な症状よりも、先の見えない不安や、普段の生活ができないストレスの方が、精神的なダメージとして大きくのしかかることがあります。

  • 協力者の確保: 術後最低1週間は、家族やパートナーに食事の準備や重いものの持ち運び、運転など、日常生活の一部をサポートしてもらえるよう、事前にしっかりとお願いしておきましょう。
  • 「暇つぶし」の準備: 安静期間を楽しく過ごすために、見たかった映画や読書、趣味の道具など、横になったままでも楽しめる娯楽を用意しておくと、精神的な安定に繋がります。
  • 回復過程への理解: 腫れや内出血は治る過程だと理解し、「一時的なものだ」と割り切る心構えを持つことが、ネガティブな感情に支配されないための防御策となります。

 

※関連記事:豊胸手術の費用はいくら?シリコン・脂肪注入の料金相場と内訳を公開

 


ダウンタイムを乗り越え、理想の自分を実現するための行動指針

ここでは、豊胸手術後のダウンタイムという、回復のために設けられた期間を、最大限有効に活用するための要点を振り返り、次に取るべき具体的な行動を提示します。

この記事で最も伝えたかったことは、豊胸手術のダウンタイムは、決して耐え忍ぶだけの期間ではないということです。痛みや腫れといった症状は必ず引くものであり、その回復のスピードと完成度は、術後の適切なケアと計画的な行動にかかっているという結論です。

手術の成功は、医師の技術だけでなく、患者であるあなたの術後管理が50%を占めます。この期間をいかに戦略的に、そして前向きに過ごせるかが、最終的な美しさと満足度に直結するのです。

 

読者が次に取るべき具体的なアクションとして、以下の2点を強く推奨します。

  1. まず、協力者を明確にしてください。術後3日間は、腕の力を使う動作や運転を極力避ける必要があります。今日からでも、家族、パートナー、友人の誰に、いつからいつまで、どのようなサポート(食事の準備、運転、重い荷物の運搬など)をお願いするかを具体的にリストアップし、打診を始めてください。一人で乗り切ろうとしないことが、最もハードルの低い現実的な行動です。
  2. 次に、回復をサポートする生活用品の準備に取り掛かりましょう。前開きのゆったりしたトップスや、枕やクッションを使って安楽に眠れる体制を整えるなど、術後すぐの不便さを解消するアイテムを事前に揃えておくことが重要です。準備万端の状態が、精神的な余裕を生み、結果として回復を早めます。

 

ダウンタイムの不安を解消し、客観的な情報に基づいて具体的な準備を進めることで、あなたは理想の自分へと確実に近づくことができます。回復への道のりは、決して長く険しいものではありません。計画的に、そして冷静に、この期間を乗り越えていきましょう。確かな準備と正しい知識が、あなたの未来を明るく照らす羅針盤となるはずです。

美容医療は 「自己肯定感を高めるための選択肢のひとつ」 という信念の もと、一人ひとりの美しさと真摯に向き合う診療スタイルを貫いています。現在は、アジアの美容外科医との技術交流や教育にも力を入れ、国際的なネットワークづくりにも取り組んでいます。

  • <所属学会>

  • 日本美容外科学会JSAS

  • 日本美容外科学会JSASPS

  • 日本形成外科学会

  • 乳房オンコプラスティック

  • <資格>

  • 日本外科学会専門医

  • コンデンスリッチファット療法認定医

  • Total Definer by Alfredo Hoyos 認定医

  • VASER Lipo 認定医

  • RIBXCAR 認定医

【監修医師】

Casa de GRACIA GINZA / GRACIA Clinic 理事長 美容外科医・医学博士 樋口 隆男 Takao Higuchi

18年間にわたり呼吸器外科医として臨床に携わり、 オーストラリアの肺移植チームでの勤務経験も持つ。外科医としての豊富な経験を土台に、10年前に美容外科へ転向。現在は東京・銀座と福岡に美容クリニックを展開し、これまでに10,000例以上の脂肪吸引、4,000例を超える豊胸手術を手がけている。特にベイザー脂肪吸引、ハイブリッド豊胸、脂肪注入豊尻、肋骨リモデリング(RIBXCAR)、タミータック、乳房吊り上げなどのボディデザインを得意とし、自然で美しいシルエットづくりに国内外から定評がある。

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